栃ノ心 大関1勝、勢一蹴 師の締め込み継承「似合うでしょ」

[ 2018年7月9日 05:30 ]

大相撲名古屋場所初日 ( 2018年7月8日    ドルフィンズアリーナ )

勢を寄り切り、大関初勝利を挙げた栃ノ心
Photo By 共同

 新大関の栃ノ心(30=春日野部屋)が平幕・勢を寄り切り、白星発進した。師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)から譲り受けた締め込みで力強い相撲を見せ、多忙で調整不足になりがちな新大関の不安を払しょく。鶴竜、白鵬の両横綱も初日を飾った。カド番の2大関は明暗が分かれ、高安は琴奨菊を突き落としたが、豪栄道は正代に屈し黒星発進となった。

 満点のスタートを切った。新大関・栃ノ心が右差しで左上手を引く最も得意な形で、プロゴルファーの比嘉真美子(24)との婚約発表で注目を浴びている勢を難なく下した。「プレッシャーがないことはないけど、相撲の間は忘れた」。

 看板力士として多忙な行事に参加。うれしさとともに緊張感も高まったが、持ち前の気合で一蹴した。「気合入れないと勝てないから。(手も)震えてないよ」とおどける表情にも、どこか余裕がある。春日野親方も「普段と変わらない」と胸をなで下ろした。

 夏場所後の昇進伝達式で「親方の教えを守り」と口上した。その言葉通り、大関候補と言われながら、その地位に届かなかった師匠の思いを身にまとい土俵に上がる。今場所から替えた紫の締め込みは、師匠が現役終盤に使ったもの。先場所まで愛用した黒の締め込みも含め、譲り受けるのは3本目。「そりゃ、似合うでしょ」とご満悦だ。

 場所入り時に着る「染め抜き」は新調。こちらは赤と白で母国のジョージア国旗がデザインされている。新たな着物と、初めての締め込み。ただ、相撲だけは変わらぬ力強さがあった。

 この日の朝稽古後、粘りが特徴の「カスピ海ヨーグルト」が差し入れられ、「相撲も粘りが出たら」と、平らげた。この日は土俵際の粘りも不要な完勝。八角理事長(元横綱・北勝海)は期待の新大関の相撲に「万全」とうなずいた。初日を見る限り、06年夏場所の白鵬以来となる新大関Vも、現実的な目標となる。

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2018年7月9日のニュース