女子ホッケー20年エースFW候補・狩野真美 真夏に咲かせる満開の桜

[ 2018年7月3日 10:40 ]

狩野真美(左)からスティックさばきを教わる加藤綾子アナ(撮影・尾崎 有希)
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 【カトパン突撃!東京五輪伝説の胎動】 女子ホッケー日本代表「さくらジャパン」で、2年後のエース候補と期待されるのがFW狩野(かりの)真美(22=南都銀行)だ。50メートル6秒9のスピードと手足の長い体格を武器に昨年3月からトップ代表に定着。精神的にも成長を遂げている。そのかれんなユニホーム姿の一方で、競技の激しさにはフリーアナウンサーの加藤綾子(33)も驚きの連続だった。

 ――ピンクの代表ユニホームが可愛い!桜が描かれていて。下はスカートなんですね。

 「キュロットのようにくっついてはいないです。その下にスパッツをはきます」

 ――女性らしさがありますね。でも、やっぱり腕や太腿の筋肉は凄い!

 「筋トレはしないんですが所属チームでは三点倒立やブリッジとかエクササイズで自然な筋肉をつけたり体幹を鍛えてます」

 ――競技で使うボールは野球の硬球より硬く感じました。

 「最初は怖かったです。こんなの当たったらどうしようって思ってました(笑い)」

 ――試合ではそれが物凄いスピードで飛び交う。

 「海外の選手とか、速い人のシュートは150キロくらい出てると思います」

 ――怖い!当たってケガすることは?

 「高校生の時に左まぶたを切ったことがあって。でも、それで左は二重(ふたえ)になれた(笑い)」

 ――当たり所が悪かったら大変。

 「相手の振り上げたスティックが頭に当たることもあります。ケガはつきものです」

 ――身長1メートル68。代表の中でも大きい?

 「そうですね。あと手足も長いって言われます」

 ――それが武器でもありますよね?

 「リーチの長さとスピードを生かしたプレーが自分の持ち味だと思っています」

 ――50メートル走のタイムはどのくらい?

 「6秒9です」

 ――うわっ速い!昔から走るのは得意だったんですか?

 「小学生の時は6年間、マラソン大会で1位でした」

 ――天性のスピードとスタミナ。ホッケーはいつから?

 「小学5年から。5歳上の兄がやっていて、迎えに行った時にスティックとボールを触らせてもらったのがきっかけでした」

 ――出身の宮城県はホッケーが盛ん?

 「いえ(笑い)。幼稚園のころに宮城国体があったからだと思いますが、地元にクラブが2つあって、近所にコートもあった。入りやすい環境でした」

 ――高いポテンシャルで高校時代から注目された。でも、代表定着は昨年から。

 「高2の時に代表に呼ばれたこともありましたが、気持ちが乗らず辞退したり…」

 ――気持ちが乗らなかった?

 「行っても何もできないし、恐怖心の方が強かったです」

 ――それが前向きに変わったのは?

 「大学3年の時のリオ五輪に同期の子が出て。私はケガが多くてメンバーに入れませんでした」

 ――悔しかった。

 「同期の活躍が刺激になった。うまくなりたい、もっと代表に入っていきたいと思うようになりました」

 ――ケガにも泣かされてきた。

 「脚の肉離れとか、手首のじん帯断裂とか。手首が多かった。弱かったです」

 ――強化するためにやったことは?

 「バケツいっぱいにお米を入れて、その中で手を握ったり動かしたり」

 ――へえ、そのトレーニングは今でも?

 「大量のお米を用意しなきゃいけないので…。今は食べる方に回してます(笑い)。最近はケガもしなくなったので」

 ――4月から社会人になって寮生活。仕事との両立の中でリラックス方法は?

 「動物が好きなんです!小さいフィギュアを集めて部屋に飾ってます。癒やしです」

 ――可愛い!一番好きな動物は?

 「キリン」

 ――えっ!?

 「動物園にいるリアルな方です。イヌやネコより好き」

 ――まさかの答え(笑い)。どこが好きなんですか?

 「なんか可愛さがあるんですよね。あとライオンも好き」

 ――そんな野生パワー(笑い)とともに向かう2年後の東京五輪。今の思いは?

 「凄く目の前にある目標なので、しっかり出場してメダルを獲得したいです」

 ――そのためには選手ファースト。練習に集中できる環境整備が大事だと思います。

 「その通りです。スポンサーに昨年から損保ジャパン日本興亜がついてくれたので、選手の負担が減りました。本当にありがたいです」

 ――それまでは大変でしたか?

 「遠征費も選手が一部負担するのが当たり前でした。学生の時はしんどかったです」

 ――今後の課題は?

 「海外勢との差を埋めるためにも、プレーの精度を上げたい」

 ――そして20年、五輪の舞台では?

 「さくらを満開に咲かせたいです!」

 ◆ホッケー スティックでボールをさばき相手ゴールを狙う。フィールドの大きさは縦100ヤード(約91.4メートル)横60ヤード(約55メートル)。プレーヤーは11人(GK含む)。選手交代は何度もでき一度退いた選手も再出場できる。国際大会の試合時間は各15分の4クオーター制で計60分。女子は80年モスクワ大会から五輪正式競技となり、日本は04年アテネ大会から4大会連続出場。世界ランキング12位(6月現在)。5大会連続出場のW杯(ロンドン)が7月21日開幕。

 ◆狩野 真美(かりの・まみ)1996年(平8)1月10日生まれ、宮城県一迫町(現栗原市)出身の22歳。宮城県立築館(つきだて)高―山梨学院大。2014年ユース五輪(南京)4位。16年の全日本学生ホッケー選手権(インカレ)V。17年3 月のホークスベイカップ(ニュージーランド)からトップ代表に定着。18年4月に奈良・南都銀行入り。1メートル68。

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