火に油だった日大ロング会見 “独裁者”意向を周囲が忖度…「最悪の危機対応」

[ 2018年5月24日 09:10 ]

井上コーチ(左)、内田前監督揃っての会見に多くの記者から次々と質問が飛ぶ(撮影・沢田 明徳)
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 2時間にもわたって行われた日大の内田前監督と井上コーチの緊急会見。焦点だった「監督の指示」について両者は明確に否定した。「つぶせ」と言ったのは事実だが、発言の解釈の違いがあったとした。

 前日には宮川選手が顔を出し、実名を明かして会見を行い「指示はあった」とした。どちらの言い分が正しいのか現時点では分からない。日大からすれば会見の最後に内田前監督が常務理事の職務一時停止と謹慎、井上コーチが辞任を表明することで事態の沈静化を図ったのだろう。ただ、この日の日大の会見を見て、火に油をそそぐ結果になったと感じたのは私だけだろうか。

 騒動が広がりを見せた当初から、アメリカンフットボール部をはじめとする日大の対応は後手に回っていた。企業の危機対応に詳しいエイレックス社の江良俊郎社長は「監督が大学の常務理事という実権を持った人物であるために、広報が本来取るべき対応ができていない。危機対応としては最悪」と話した。大学内で“独裁者”と評されることもある内田前監督の意向を忖度(そんたく)する周囲。組織の硬直化を生むこんな構図が、日大内部にもはびこっていると思われる。

 22日の宮川選手の人生を懸けた会見後、関学大の鳥内監督は「勇気を出して真実を語ってくれたことに敬意を表したい」と話した。謝罪の気持ちは確かに相手に伝わった。ただ、この日の日大の会見を見て、果たして関学大はどのように感じるだろうか。共同声明を出した関東アメリカンフットボール連盟に属する他大学、真相究明を求める声明を出した日大教職員組合、そして何より宮川選手はどのような思いで会見を見ただろうか。日大がまた対応を誤ったように思えてならない。 (一般スポーツ部デスク・白鳥 健太郎)

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2018年5月24日のニュース