P・リード、嫌われ王者が憧れマスターズ王者に ヤジにも動じず

[ 2018年4月10日 05:30 ]

マスターズ最終日 ( 2018年4月8日    米ジョージア州オーガスタ オーガスタ・ナショナルGC=7435ヤード、パー72 )

前年優勝のセルヒオ・ガルシア(左後方)からグリーンジャケットを受け取るパトリック・リード
Photo By 共同

 3打差の首位から出たパトリック・リード(27=米国)が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算15アンダーでメジャー初優勝、ツアー通算6勝目を挙げた。メジャー優勝者らの追い上げを受けたが、一度も首位を譲ることなく1打差で逃げ切った。松山英樹(26=LEXUS)は69と伸ばし、通算3アンダーの19位。小平智(28=Admiral)は72でイーブンパーの28位だった。

 史上最も愛されない王者の誕生だった。地元オーガスタ大出身にもかかわらず、スタート時の歓声は同組のマキロイ(英国)より少なく「CHEAT(いかさま野郎)!」のヤジまで飛んだ。それもそのはず。ジョージア大ゴルフ部から追放されて転校したのがオーガスタ大。本人は理由を「酒のトラブル」と言うものの、真相はスコア改ざんや仲間の道具の窃盗だと噂されている。

 そんな嫌われ者が、首位で迎えた最終日に人気者たちを退けた。序盤は最終組でマキロイとマッチプレーの様相。マキロイが崩れると、中盤はスピース(米国)がぐいぐい追い上げてきた。最後は1組前のR・ファウラー(米国)が1打差に追いすがってホールアウト。だが、リードは次々に重圧をかけられても崩れなかった。

 13番パー5ではグリーン手前に落ちたボールが、クリークまで転がり落ちずにラフで止まった。人気はなくとも運は味方した。最終18番では外せばプレーオフの1・2メートルを沈めてパーセーブ。「全てのゴルファーの夢。子供の頃から夢見てきた」というグリーンジャケットに袖を通した。

 14年には「俺は世界で5本の指に入る選手だ」と豪語して反感を買い、ラウンド中は今大会であっても平気で「F××K」などと“放送禁止用語”を吐く。妻子はいても両親、妹とは絶縁状態で家族仲は最悪だ。それなのに米国代表としての団体戦での強さゆえに、ついたあだ名は「キャプテン・アメリカ」。嫌われ者のキャプテン・アメリカが、みんなが憧れるマスターズ王者になった。

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2018年4月10日のニュース