橋本 みそぎの連覇 2月の規約違反から再出発「東京五輪に向け一から」

[ 2018年4月8日 05:30 ]

優勝した橋本は表彰状を手に笑顔
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 柔道全日本選抜体重別選手権第1日は7日、福岡国際センターで男女計7階級が行われ、男子73キロ級は昨年の世界王者・橋本壮市(26=パーク24)が2年連続3度目の優勝を果たし、9月にアゼルバイジャン・バクーで行われる世界選手権代表を確実にした。2月には国立スポーツ科学センター(JISS)に知人を無断で招き入れる規約違反。強化ランク降格などの処分を受けたが、みそぎの勝利で世界王者がひしめく激戦階級を制した。

2連覇が決まっても、本来パフォーマンス好きの橋本の表情は不変だった。深々と一礼し、場内インタビューも「世界選手権を2連覇して東京五輪に向けて一からやっていきたいと思います」としおらしい。「柔道界全体に迷惑を掛けたので」と感情を封印。みそぎの優勝をかみしめた。

 不祥事が公になった2月19日、バリカンを購入して頭髪を6ミリに刈り上げた。JISSは半年間の出入り禁止となったが、周りの助けもあり、練習環境はほぼ変わることなく調整できた。決勝は「毎日のように稽古をしている」という同所属の海老沼と対戦。試合中盤にとっさに出た腰車で、66キロ級時代は世界選手権を3連覇した実力者から技ありを奪い「迷惑を掛けたので勝って恩返しを」という思いを実現した。

 「決勝で大野選手と対戦するのが理想だった」と望んだリオ五輪王者との直接対決は実現しなかったが、20年に向けては一歩リードした。国際大会は昨年12月のグランドスラム(GS)東京大会でストップするまで8大会連続優勝。外国人選手相手には15年5月から43連勝中と勢いに乗る。男子日本代表の井上康生監督は「自分の柔道を出さなくても相手を押していける。一回り成長した」と目を細めた。

 今月29日には、憧れだった無差別で争われる全日本選手権にも初挑戦する。「全日本も優勝を狙っていく。会場を湧かしたい。テンションが上がる」。約2センチまで伸びた頭髪をかきながら、ちゃめっ気たっぷりの性格を少しだけ解放した。

 ○…大野は世田谷学園高の先輩・海老沼に合わせ技一本で準決勝敗退。本来の攻撃性は鳴りを潜め、逆に相手の内股2発に屈した。昨年は天理大大学院での学業に重きを置き、本格的な稽古再開は今年2月から。2月にはGSデュッセルドルフ大会を制したが「まだ、もやっとした試合が続いている」と明かした。それでも「ピークとコンディションを合わせれば誰にも負けない自信はある」と五輪王者の自負も口にした。

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