鶴竜8場所ぶり賜杯奪回!戦い抜いた一人横綱「何が何でも勝つ」

[ 2018年3月25日 05:30 ]

大相撲春場所14日目   ○鶴竜―豪栄道● ( 2018年3月24日    エディオンアリーナ大阪 )

千秋楽を待たずに優勝を決めた鶴竜(中央)は部屋に戻り鯛を手に後援者らと喜ぶ
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 鶴竜が16年九州場所以来、8場所ぶり4度目の優勝を果たした。豪栄道戦はいきなり引いて呼び込んだが、うまく回り込んではたき込み、右足が俵にかかりながら残した。13勝1敗とし、千秋楽を待たずに賜杯奪回が決まった。右手の指の負傷を抱えながら出場に踏み切り、白鵬、稀勢の里が休場する中で、1人横綱の責任を全うした。

 8場所ぶりの優勝を決めた一番は、ここまでの苦労が重なるような相撲内容だった。相手の攻めをかわしながら回り込んだ末の勝利。花道から引き揚げると、自身を支えてくれた付け人たちとのグータッチで喜びを分かち合った。

 「何が何でも勝つという気持ちだった。相撲は最悪だったけど、勝てて良かった。諦めずにチャレンジしようと決めた、その思いは正解だった」。一人横綱として守り続けた東の支度部屋の一番奥で、賜杯奪回の感慨に浸った。

 2つのケガを乗り越えた。優勝を逃した初場所途中に痛みが出た左足は、2月1日に遊離軟骨を除去する内視鏡手術を受けた。初場所千秋楽で痛めた右手の指は痛みが残り、まわしを取る稽古はほとんどできなかった。決断したのは春場所取組編成会議前日の8日夜。「休場という選択肢があった」という中、師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)に出場を直訴した。まわしが引けない分、自分の持ち味の「動き」でカバー。13勝のうち寄り切りは3勝だけ。相手の動きをよく見ての引き技で白星を重ねた。

 腰痛などに泣かされた昨年は、6場所中皆勤できたのは1場所だけ。元横綱・日馬富士による貴ノ岩への傷害事件では、酒席に同席しながら暴行を止められなかったとして、1月は給与不支給の処分を受けた。「そういう中でも応援してくれた人たちを喜ばせようという気持ちでやっていた」。千秋楽はムンフザヤ夫人と2人の子供が訪れる。「これで子供を抱いて写真が撮れる」。長男アマルバイスガランちゃん(10カ月)が誕生してから初めての優勝に喜びもひとしおだ。

 大阪は鶴竜にとって験のいい場所。新三役を決めたのが09年、場所後に大関昇進となったのは12年、初優勝で横綱に推挙されたのが14年だった。今年は完全復活を意味する優勝となった。

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2018年3月25日のニュース