緑夢 銅!成田家悲願のメダル、スノボクロス3決圧勝「完璧」

[ 2018年3月13日 05:30 ]

平昌パラリンピック スノーボード ( 2018年3月12日 )

平昌パラリンピック男子スノーボードクロス(下肢障がい)で銅メダルを獲得し喜ぶ成田
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 今大会から新たに加わったスノーボードクロス男子下肢障がいで世界ランク1位の成田緑夢(24=近畿医療専門学校)が銅メダルを獲得した。日本選手がスノーボードでメダルを獲るのは初めて。成田は準決勝で転倒したものの、3位決定戦は圧勝した。同大腿障がいで小栗大地(37=三進化学工業)が7位入賞、パラ陸上男子走り幅跳びの第一人者で、招待枠で出場した山本篤(35=新日本住設)は12位だった。

 夢見ていた光景が現実になった。パラリンピック出場で「ケガをしても終わりじゃない」というメッセージを伝えるというのが、成田の一つの目標だった。頂点に立つことはかなわなかったが「完璧な銅メダルです」。緑夢ストーリーの第1章が幕を開けた。

 前回大会のメダリストが勢ぞろいしたトーナメントを、世界ランク1位の実力で勝ち上がった。準決勝は雪面が緩んだインを警戒し、あえてアウトサイドのターンを攻めたが転倒。「荒れても緩くないかと思ったけど、アウトも緩くてこけた。挑戦した結果なので問題ない」と冷静だった。

 きょうだいはともにオリンピアンだ。兄の童夢(どうむ)、姉の今井メロはともに06年トリノ五輪にスノーボードで出場。生活の一部として、スノーボードは幼少期から近くにあった。天性の運動能力を生かして多くのスポーツにも挑戦。スキーハーフパイプのジュニア世界選手権は優勝も果たした。

 その2週間後の13年4月。練習中に腓骨(ひこつ)神経左膝下まひの大ケガを負った。「今まで何万時間もプレーしてきたのに、いきなりセーブデータがゼロになったみたいな感じ」と落ち込んだが、1年後にウエークボードの健常者の大会で優勝。同じ障がいを持つ人からSNSで「勇気をもらった」という投稿を見た。「僕がスポーツすることで人に影響を与えられるんだと理解した」。到達したパラリンピックの舞台で、きょうだいが獲得できなかったメダルを手にした。

 16日のバンクドスラロームでは金メダルに再び挑戦できる。「(順位が)上がれば上がるほど影響力があるのは間違いない」と闘志を燃やした。

 ◆成田 緑夢(なりた・ぐりむ)1994年(平6)2月1日生まれ、大阪市出身の24歳。2013年、練習中の事故で左足に障がいを負う。15年にパラ陸上を始め、パラスノーボードは16年に国際大会初出場。今季はW杯総合王者に輝き、現在世界ランキング1位。17年日本パラ陸上選手権では走り高跳び(T44 下肢障がい)2位、走り幅跳び(T44 下肢障がい)2位と夏季競技にも挑戦している。

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