貴乃花親方 春場所直前に告発「協会に重大な疑義あり」

[ 2018年3月10日 05:30 ]

稽古場から報道陣の前に姿を見せた貴乃花親方
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 大相撲の貴乃花親方(45=元横綱)が9日、日本相撲協会を監督機関である内閣府の公益認定等委員会に告発したことを明かした。元横綱・日馬富士(33=本名ダワーニャム・ビャンバドルジ)の貴ノ岩(28=貴乃花部屋)に対する傷害事件で、相撲協会の対応に疑義があるなどの理由から、立ち入り検査などを求める内容。貴乃花親方は自身の理事解任についても疑問を投げかけ、貴ノ岩の土俵復帰を迎えても、一連の騒動の終息点は再び見えなくなってきた。

 元日馬富士が起こした傷害事件については、鳥取地検が昨年12月に略式起訴処分とし、事件に関わった力士、親方らの処分も全て、1月4日の相撲協会の臨時評議員会までに出された。事件は決着をみた形だったが、被害者の貴ノ岩の師匠である貴乃花親方は納得していなかった。この日夜、報道各社に対し、代理人弁護士を通して、内閣府公益認定等委員会に告発状を提出したことを明かし、経緯を貴乃花部屋公式サイトの「親方のメッセージ」につづった。

 関係者の処分などは、相撲協会の危機管理委員会(高野利雄委員長=元名古屋高検検事長)の聞き取り調査によって作成された報告書を基に下されている。貴乃花親方はこの報告書や決議などについて「不当・不適切にとどまらず、違法なものも存している」と異を唱えた。そのうえで「公益法人としての日本相撲協会およびその各組織の適正な運営に重大な疑義が生じている」とし、相撲協会への立ち入り検査などを求めた。

 自身の理事解任も問題のある対応だったとした。事件が起きたのは、貴乃花親方が巡業部長を務めていた昨年10月の秋巡業中。相撲協会は巡業責任者でありながら事件の報告義務を怠り、さらに弟子の貴ノ岩の事情聴取を拒否し続けたことなどを理由に、12月28日の臨時理事会で貴乃花親方の理事解任を決定。1月4日の臨時評議員会で承認されている。これについて「法的には、解任事由に相当するような理事の職務義務違反になると認めることは困難なもの。評議員会は、私が求めた弁明の機会を与えずに、理事の解任という重大行為に及んだ」と主張している。

 貴乃花親方は、危機管理委員会が貴ノ岩の同意を得ることなく診断内容を入手して報道機関に公表したことや、最終報告の重要な点で貴ノ岩の主張が反映されていないことも問題視している。

 これまでも相撲協会の決定などについて、テレビ番組などで見解が異なるなどとしていたが、ついに監督機関に判断を求めた。相撲協会に対する不信感からか、2月以降は全協会員対象の研修会にも姿を現さず、この日も大阪市内での理事会と年寄総会を欠席した。貴乃花親方の言い分が正しいのか、相撲協会が発表した報告書通りなのか。真実を求め、現役時代に孤高の横綱と呼ばれた男が徹底抗戦に打って出た。

 ▽公益認定等委員会 内閣府に設置され、社団法人や財団法人の公益性を審議、認定する。立ち入り検査などを行って運営の実態を把握し、問題のある法人には勧告、公益認定の取り消しなどを行う。会計処理や財政基盤、理事会や総会・評議員会が適切に開催されているかなど組織のガバナンス(統治)もチェックする。スポーツ界では過去に全日本柔道連盟や全日本テコンドー協会、日本アイスホッケー連盟が勧告を受けた例がある。

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2018年3月10日のニュース