伊調へのパワハラ「ない」、協会反論「練習環境制限してない」

[ 2018年3月2日 05:30 ]

16年8月、リオ五輪の伊調と栄強化本部長
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 女子レスリングで五輪4連覇した伊調馨(33=ALSOK)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)から繰り返しパワーハラスメントを受けたとして、レスリング関係者が内閣府の公益認定等委員会に告発状を出した問題で、協会は1日、内容を否定する文書を発表した。

 告発状は、栄氏が伊調の師事する田南部力コーチに指導をやめるよう命じ、従わなかった同コーチを脅したほか、同選手が練習場所としていた警視庁の施設に出入りできないよう圧力をかけたとしている。日本協会は「伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はない」とした。

 一方で協会は、田南部コーチが男子フリースタイルのコーチであるため、伊調を指導することで男子の育成、強化がおろそかにならないよう注意喚起をした事実は認めた。伊調にも、男子合宿で同コーチの指導を受ける場合は全体練習終了後とするよう伝えたことはあるとした。

 しかし、男子合宿への参加を禁じたことはないとし「警視庁レスリング部に対して伊調選手を練習に参加させないことや(当該)コーチを指導から外すよう働きかけた事実も一切ない」とした。

 日本レスリング協会副会長の馳浩元文部科学相(自民党)は事実関係を確認する考えを示し「私たちと強化本部長、伊調選手が一緒にテーブルを囲んで話をすれば済む話だと基本的に思っている」と語った。

 ▽公益認定等委員会 内閣府に設置され、社団法人や財団法人の公益性を審議、認定する。立ち入り検査などを行って運営の実態を把握し、問題のある法人には勧告、公益認定の取り消しなどを行う。会計処理や財政基盤、理事会や総会・評議員会が適切に開催されているかなど組織のガバナンス(統治)もチェックする。スポーツ界では過去に全日本柔道連盟や全日本テコンドー協会、日本近代五種協会、日本アイスホッケー連盟が勧告を受けた例がある。

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