美帆 女子3000健闘5位、“本職”1500へ「強い気持ちで挑む」

[ 2018年2月11日 05:30 ]

平昌冬季五輪 スピードスケート女子3000メートル ( 2018年2月10日 )

平昌五輪スピードスケート女子3000メートル レースを終えペヒシュタイン(左)のねぎらいに笑顔の高木美帆
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 女子3000メートルは中長距離エースの高木美帆(23=日体大助手)が4分1秒35の5位に終わった。欧米勢が表彰台を独占してきた難関種目で今季W杯1勝し、日本人初のメダルに挑んだが、惜しくも届かなかった。それでも、低地のリンクでの自己ベストタイム更新。今季W杯4戦全勝と主戦とする12日の1500メートルに弾みをつけた。98年長野五輪女子500メートル銅メダルの岡崎朋美以来、日本女子20年ぶりのメダルに再挑戦する。

 日の丸を背負うエースに客席から拍手が送られる。ゴールして大きく口を開け、高木は肩で息をしながらリンクを1周した。再び第1コーナーに戻ってくると、ようやく体を起こしてスタンドの歓声に応えた。「同走の選手に勝っていたら表彰台に乗れていたということで悔しいところ。だけどこの大舞台で自分が持っている力は悔いなく出し切れたと思う」とやりきった表情を見せた。

 日本人メダル第1号を目指し、1周のラップは31秒0台。前半はうまく足を運んだが、中盤に入り同走デヨングがピッチを上げた。「前に出るためにピッチを上げた」という後半に入り苦しくなった。最後は懸命にゴールを目指し銅メダルのデヨングとは1秒33差。「自己ベストでこの結果。単にまだ上位を獲る力がないんだと受け止めています」。昨年2月に同じリンクで行われた世界距離別選手権の4分4秒50を3秒15更新。23歳の顔に自信が映った。

 札内中3年の時にスピードスケート史上最年少五輪代表となり注目された“天才中学生”。だが、14年ソチ五輪で代表落ちして初めて壁にはね返された。小学生の頃からレースでぶっちぎり、小2から始めたサッカーでは15歳以下の女子日本代表候補合宿に参加した実力を持つ。陸上でも札内北小6年にいた06年7月に陸上女子800メートルで十勝女子小学生記録となる2分24秒66をマーク。12年後の現在も破られていない。

 光る才能を持ち、それまでは「なんとかなる」と乗り切ってきた。そんな高木が初めて挫折を味わったのがソチ五輪。一足先に五輪に出場する妹を見た嫉妬心を原動力に「そんなガツガツしなくても」と妹が思うほど五輪を目指した姉・菜那がソチ行きを決めた。執念、気迫の必要性を再認識した。この8年で体も絞られた。きっかけは高校生の時、バンクーバー銀メダルの長島圭一郎さん(35)から「太いね」と言われたこと。揚げ物を控え、甘いものも我慢。「あの一言で変われた」。そして迎えた2度目の夢舞台だった。

 「今までのどの大会よりも集中して仕上げてくる努力をしてきたなとは思っている。そういうのを8年前はできていなかった」と胸を張る。次は金メダルを狙う12日の1500メートル。「ここからのシフトチェンジが大事になる。さらに強い気持ちを持って挑みたい」と視線を上げた。

 ▽高木美帆のバンクーバー五輪 北海道・札内中3年時にスピードスケート史上最年少で代表に選出。初めてのシニア国際大会が五輪という重圧の中行われた1000メートルでは1分19秒53と完走できなかった1人を除いて最下位の35位に終わった。最も得意とする1500メートルでは2分1秒86で23位だった。

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