宇野、五輪の“魔物”倒した!圧倒的金の舞い 団体3位発進

[ 2018年2月10日 05:30 ]

平昌冬季五輪 フィギュアスケート団体・男子SP ( 2018年2月9日 )

日本チームの先陣を切り、ショート1位発進を決めた宇野(撮影・小海途 良幹)
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 平昌五輪は9日、開会式が行われ、冬の祭典が幕を開けた。団体戦男子ショートプログラム(SP)では、日本の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が103・25点で首位となった。冒頭のジャンプのミスを最小限に抑え2位に14・76点差をつける圧巻の演技で初の五輪に好感触を得た。日本はペアSPが8位で合計13点として3位につけた。

 五輪の魔物は見えていた。最終滑走者の宇野が、控え通路のモニターでライバルたちの演技をチェックしている時だ。最終組1番手で登場したソチ五輪銀メダルのベテラン、チャンが2度転倒。今季のGPファイナル覇者チェンも転び、GPファイナル3位のコリャダも2回の転倒を含む3つ全てのジャンプに失敗。会場は重たい雰囲気に包まれた。

 「(影響は)正直ありました。あれだけたくさん失敗するのを初めて見た。緊張感や朝早いことで、自分も失敗するのかと思った」

 宇野の冒頭の4回転フリップ。着氷が乱れて手をついたものの、転倒は逃れた。「ヤバイと思ったけれど、こらえてから、体は動いていると思えた」。心が前向きになるとビバルディ作曲「四季」の「冬」のバイオリンの旋律に乗って、後半の4回転―3回転の連続トーループ、3回転半を成功。流れるような美しさで出来栄え評価1・86点もの高い加点をもらった。ミスを最小限に抑えて、自己ベストまで1・62点に迫る103・25点。上位陣で唯一、魔物を受け入れなかった。

 今年1月上旬には練習でジャンプを封印。振り付けを磨くためだけの期間をつくり、左の大胸筋付近に軽い肉離れを負うほど全身を使って激しく踊り込んだ。この日の表現面を示す演技点は今季自己最高だった。

 宇野流の自然体の調整がはまっている。通常フィギュアの大会は夜に行われるが、今大会は異例の午前10時開始。朝の公式練習は7時5分からだった。午前の試合には苦手意識があったが、心に誓うのは「無理に何かをしようとしない」こと。5時に起きてもすぐにベッドを出ず、軽い二度寝を繰り返した。6時発のバスで移動し、アップをほぼせずに練習を開始したが「意外と跳べた」という。試合後は「全日本選手権の方が緊張した」と笑顔で振り返った。

 右足首の負傷で団体戦出場を見送った羽生結弦は4年前、団体戦SP1位で勢いをつけ、個人で金メダルを獲得した。だが、宇野は「団体戦と個人戦は別物」と素っ気ない。クールに自然体で狙うのが宇野のスタイル。それでも金メダル有力候補であることは世界にはっきりと示した。

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2018年2月10日のニュース