葛西、前人未到冬8度目五輪出場決定 開幕前にNH予選で先陣

[ 2018年2月8日 05:30 ]

<平昌冬季五輪・スキー男子ジャンプ公式練習>公式練習を終え、笑顔の葛西
Photo By スポニチ

 レジェンド出陣――。ノルディックスキー・ジャンプ男子の日本人単独最多8度目の五輪代表、葛西紀明(45=土屋ホーム)が8日、個人ノーマルヒル予選に臨む。7日は日本チームの出場選考を兼ねた夜の公式練習で3回目に98メートルをマーク。出場選手4人の中に入った。9日の平昌五輪開幕を前にチームジャパンを勢いづける大飛躍を狙う。

 ついに冬季五輪世界最多出場となる瞬間が訪れる。葛西は個人ノーマルヒルに出場することで、7度で並んでいたリュージュ男子のアリベルト・デムチェンコ(ロシア)が今回不出場のため、単独最多の8度目出場となる。

 ただ、さすがのレジェンドもこの日ばかりは緊張した。3本を振り返り、「しょっぱいジャンプだった。危なかったあ。ずっと飛ばないで3本に集中したが、5人の中で4人(出場)というプレッシャーがあり、ドキドキだった。結果的にこの作戦は失敗だったのかな」と苦笑いを浮かべた。

 公式練習で日本チームは個人ノーマルヒルに出場する4人を選ぶ選考を兼ねて5人が飛んだ。公式練習は日中3本、夜に3本。5人の中で葛西だけは本番の時間を想定したナイターのみに参加した。だが、1回目は98メートルで得点は5人中最下位。2回目は96メートルで得点は日本勢の中で下から2番目でともに全体の28番目だった。崖っ縁の状況で臨んだ3回目。「2本飛んでダメかもと思い、リラックスできた」と開き直って飛ぶと、小林陵侑に次ぐ日本勢2番目、全体で16番目となる98メートルをマークした。公式練習後、ジャンプチームの斉藤智治監督(61)は選考理由について「(落選した竹内)択は(ジャンプの)バランスを崩していた。葛西は最後に飛んだから」と説明した。

 先月28日にW杯(ポーランド・ザコパネ)に出場して以降、今回の五輪直前は“ノージャンプ調整”を貫いた。先月30日に帰国し、1日からの北海道・札幌での男子代表合宿でも葛西だけは飛ばなかった。「ケガをしたくないし、(飛ぶと)頭が疲れるのでストレスをつくりたくなかった」。近年はなるべく本数を飛ばない調整で好成績に結びつけ、14年ソチ五輪では個人初の銀メダルを獲得。公式練習でも崖っ縁の状況で勝負強さを発揮した。

 黄色のヘルメットには左右に2体の朱雀(すざく)が描かれ、その目にはそれぞれに「R」の文字。愛娘・璃乃ちゃん(2)と妻・怜奈さん(33)の頭文字だ。2人は個人ラージヒルと団体戦を観戦する予定で「家族の見ている前でメダルを獲る、頑張っている姿を見せたい」。まずは初めてパパで迎える五輪の個人ノーマルヒルで弾みをつけるつもりだ。

続きを表示

この記事のフォト

2018年2月8日のニュース