【平昌で輝け】戸塚優斗 天国の“兄貴分”の分まで「感謝」の飛翔を

[ 2018年2月6日 11:00 ]

初の大舞台でメダルを狙うスノーボード・ハーフパイプ男子の戸塚
Photo By 共同

 11年12月、一人のスノーボーダーが大会に向かう途中に交通事故で命を落とした。将来を嘱望されていた彼の名前は柳原真央さん。まだ17歳の若さだった。

 「NEXT SKY MAO」。スノーボード・ハーフパイプ男子の戸塚優斗(16=ヨネックス)は故人への思いを込めたステッカーを板に貼り付けてきた。ヨネックスの契約ライダーだった柳原さんとはレッスンイベントなどで知り合い、小3の時に西東京市にある現在のサポートショップ「HEAVEN STORE」にも紹介してもらった。

 同ショップ代表の中本健太郎さん(45)は2人を「同じヨネックス、お店のチームの中での師弟関係という感じだった」と振り返る。「基本的にはスノーボードの先輩後輩なので、元々はうまいお兄さんという感じ。真央の滑りを見ながら、優斗もここがカッコいいとか盗んでいたんじゃないかな」。昨夏のシーズン開幕前、店に顔を出した戸塚は「もし真央くんが生きていたら一緒に五輪に出られたかもしれないね」とぽつりとつぶやいたという。

 その直後にニュージーランドで行われたW杯開幕戦で優勝。その後も出場する大会全て表彰台を逃さず、22年北京と思っていた五輪初出場の夢は今年かなうことになった。1月のW杯では憧れのショーン・ホワイト(米国)ら並み居る強豪に交じって、世界でも成功者の少ない「フロントサイドダブルコーク1440(4回転)」を着地。五輪でのメダルも見えてきた。

 戸塚は柳原さんについて「滑り、技、生活面、礼儀とかを習いました。あいさつが小さいってずっと怒られていた。感謝もあるし、そういう気持ちを忘れずにやっていきたい」。一緒に滑ることはかなわなかったが、思いは平昌にともにある。=終わり=

 ◆戸塚 優斗(とつか・ゆうと)2001年(平13)9月27日、神奈川県横浜市生まれの16歳。神奈川・光明学園相模原高在学中。母親の影響で2歳からスノーボードを始める。小2からハーフパイプに取り組み、16、17年に全日本ジュニア優勝。17年3月の全日本選手権を制し、同9月のW杯で初出場初優勝。好物は回転寿司のえんがわ。1メートル68、58キロ。

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