【平昌で輝け】長谷川翼 ここ一番に強い男「お家芸」復活任せろ

[ 2018年2月1日 11:00 ]

代表選考会で国内最高記録で優勝した長谷川
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 可能性を秘めた23歳に「お家芸」の復活は託された。昨年末のスピードスケート五輪代表選考会男子500メートル。初々しさものぞく長谷川翼(日本電産サンキョー)が国内最高記録の34秒60で制した。「風邪をひいたかなと思うくらい緊張したけど冷静でいられた。思い出せないぐらい集中というか、夢中になって滑った34秒でした」と興奮気味に話した。

 10年バンクーバー五輪銅メダルの元世界記録保持者、加藤条治(32=博慈会)が持つ記録を約6年ぶりに更新。前回ソチ五輪ではメダル圏内となる好タイムだ。2本の合計で競った前回までの五輪とは違い平昌は一発勝負。一つのミスが命取りになる。切符を懸けた決戦の舞台で「力以上のものを発揮できた」と胸を張る。ここ一番の爆発力こそ長谷川が備えた最強の武器だ。

 希望の裏に失意もあった。W杯出場権を争う昨年10月の全日本距離別選手権は35秒17で7位。慢心が気の緩みを生んだ。シーズン初っぱなでつまずき国内組に回ると、最初のジャパンカップは学生にも敗れて4位と空回り。「何回も投げ出そうと思った」という。そこでスケート靴の違う刃を試し、フォームも微調整。遠回りはしたが自分を見つめ直す時間になった。すると、2カ月間で0・5秒以上もタイムを短縮。潜在能力の高さを見せつけた。

 中学まで続けた野球は投手で抑え中心だった。球は「めっちゃ遅い」と明かす自称「ポンコツ」だが、チームの窮地を救い男を見せてきた。「そういう部分でも緊張する舞台で力が発揮できるというのにつながっているのかな」。北沢欣浩が84年サラエボ五輪で銀メダルを獲得してから日本人が五輪表彰台に上がったのは10年バンクーバーまで8大会中7大会の「お家芸」。2大会ぶりのメダルへ、嫌な流れを断ち切ってきた“ストッパー”に出番が回ってきた。

 ◆長谷川 翼(はせがわ・つばさ)1994年(平6)2月8日生まれ、北海道標津郡中標津町出身の23歳。白樺学園高ー日大。日本電産サンキョー所属。幼稚園の時からスケートを始める。子供の頃は水泳や空手を習い中学まで野球も継続。中2で身長が12センチ伸びて頭角を現し、全国上位でも争い。高校選手権は500メートル2連覇。日本学生選手権は同種目3連覇。17年冬季アジア大会500メートル2位。1メートル72、72キロ。

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2018年2月1日のニュース