沙羅、今季最高2位!2強一角崩し頂点あと一歩「伸びしろある」

[ 2018年1月15日 05:30 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第6戦 ( 2018年1月14日    札幌市・宮の森 )

今季最高の2位となった高梨
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 高梨沙羅(21=クラレ)が今季初めて上位2強の牙城を崩した。1回目は90メートルで3位につけ、2回目は93メートルまで伸ばして合計231・4点とし、カタリナ・アルトハウス(21=ドイツ)を上回った。とはいえ、これでW杯では自己ワーストとなる7大会連続未勝利。3連勝を飾ったマーレン・ルンビ(23=ノルウェー)には距離換算で10メートルの差をつけられた。19日からは山形・蔵王での3連戦(団体戦を含む)に臨む。

 途中までは、前日の、そして今季ここまでのプレーバックのような展開だった。だが、2強に先行を許して迎えた2回目に高梨がくさびを打ち込んだ。K点を越えて93メートルまで伸ばす会心のジャンプ。上位2人を残して、ひょっとしたら、の期待感が宮の森を包んだ。

 高梨の好飛躍が重圧となったか、続くアルトハウスが珍しく失速した。89メートルと距離を伸ばせずに、スコアも全体5位にとどまる失敗ジャンプ。最後のルンビは最長不倒の圧倒的な強さを見せたものの、高梨が今季初めて2強の一角を崩した。

 「昨日の課題を改善できて結果につながった。2回目はアルトハウス選手も全てを出し切れなかったと言っていた。運も良かった」。もちろんそれは運をつかみ取る準備をしたからこそ。いつも黒のジャンプスーツがこの日は茶色。決勝での黒以外は珍しく「五輪まで残り少ない期間でいろいろテストしている」と実戦の中で試していたと明かした。

 スーツに使える生地は指定されており、シルエットも体から2センチ以内と決まっている。しかし、そのルールの中でカッティングや縫製など、細部で違いを生み出そうと各国がしのぎを削る。「飛んでいて違いはよく分からないが、色によって若干硬さが違う。少しずつテストして平昌につながっていけばいい」。アルトハウスやルンビも予選と決勝ではスーツを替えている。レベルが拮抗(きっこう)してきた女子の現状では、男子のようなミクロの戦いも必要になりつつある。

 「自分の技術も着実に前進はできている」と振り返ったように、2回目は飛型点もほぼ全ての審判が18・5点をつけた。1回目の飛型点が低かったことから「頭から突っ込むというか、倒れ込むような感じで」と思い切ってテレマーク姿勢を入れにいった。これまでとは違う勇敢なアプローチは奏功。今後につながるヒントを得た。

 「私も完全じゃない。自分で感じてない伸びしろがあると思っている。そうやってポジティブに考えられるのも成長したところ」と7戦連続Vなしにも悲観的なムードはない。五輪まで残り7戦。今はできることを少しずつ積み上げていくしかない。

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2018年1月15日のニュース