貴親方 史上初理事解任決定 池坊議長、再選にも“物言い” 

[ 2018年1月5日 05:30 ]

<臨時評議会>貴乃花親方の理事解任を報告する池坊保子議長
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 日本相撲協会の臨時評議員会が4日、東京・両国国技館で行われ、12月28日の臨時理事会で決議された貴乃花親方(45=元横綱)の理事解任案を承認した。理事の解任は初めてで、2階級降格の役員待遇委員、指導普及部副部長となった。貴乃花親方には、初場所後の理事候補選挙への出馬の道が残されているが、元文部科学副大臣の池坊保子評議員会議長(75)は再選された場合の承認に含みを持たせた。

 会議はほとんど混乱なく1時間ほどで終了した。冒頭、高野利雄危機管理委員長(元名古屋高検検事長)が、同委員会の貴乃花親方への聴取結果を報告。一方で12月20日の理事会で貴乃花親方が提出した意見書も配布された。池坊議長は議事進行役のため採決には加わらず、2人の欠席者を除く評議員4人が全会一致で解任案を承認した。

 池坊議長は会見で「(貴乃花親方は)暴行問題での報告義務を怠り、危機管理委員会への協力を拒否した。忠実義務を怠り、今回の問題がここまで大きくなり長引いた」と解任理由を説明。さらに「八角理事長が何度電話しても応答がなく、折り返し(の電話)を欠いていたのは著しく礼を失している」と指摘した。

 相撲協会の評議員会は、理事の選任や解任などの最終権限を持つ。そのため、会見では初場所後に行われる理事改選への質問も出た。貴乃花親方の解任を決議した同28日の理事会では、貴乃花親方の理事候補選への立候補が認められた。貴乃花一門には理事選の投票権を持つ9人の親方がおり、出馬すれば再選が確実。また弟子の元横綱・日馬富士の傷害事件の責任を取り、理事を辞任した伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)も立候補の意向を持っていると伝えられている。そうした状況で、貴乃花親方が再選された場合、どうするのかと問われた池坊議長は「(案が)上がってきたら、話し合いをするとかいろいろな過程を経て評議員会で真摯(しんし)に厳粛に粛々と決めさせていただく」と明言を避けた。

 さらに、伊勢ケ浜親方を含め、今回降格となった理事が再選された場合、3月の評議員会で承認しない可能性があるのか、との質問に「評議員会は理事会とは別途に相撲協会の管理、運営などに対して正しく行われるようにする機関。その時、評議員が知恵を出し合いながら進めていきたいと考えています」と“再選案”をスンナリとは認めないとも受け取れる考えを明らかにした。理事会が決議した人事案を、評議員会が差し戻すような事態となれば混乱は必至。騒動がさらに長期化するのは避けられなくなる。

 ▽評議員会 5人以上7人以下の評議員(過半数は外部有識者)によって組織。決議する事項には「理事および監事ならびに会計監査人の選任または解任」「定款の変更」などがある。評議員会の決議は、決議について特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。なお、一般的に評議員は前評議員会の決議によって選任される。

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2018年1月5日のニュース