条治、4大会連続五輪出場確実 さすがの勝負勘で今季ベスト!

[ 2017年12月28日 05:30 ]

スピードスケート平昌五輪代表選考競技会第1日 ( 2017年12月27日    長野市・エムウエーブ )

平昌五輪出場を手繰り寄せた加藤条治
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 男子500メートルは10年バンクーバー五輪銅メダルの加藤条治(32=博慈会)が34秒683で3位に入り、4大会連続の五輪出場を確実にした。最初の100メートルの意識を変えて、今季ベストの滑りにつなげた。1位は34秒60の国内最高をマークした長谷川翼(23=日本電産サンキョー)、山中大地(27=電算)が34秒680で2位に入り、五輪切符を確実にした。

 夢舞台の切符をたぐり寄せ、32歳がホッと息をついた。五輪への最低条件をクリアした加藤に充実感がにじむ。3位に滑り込み、「今まで頑張ってきた自分が結果を出してくれた。狙って一発もってこられたのは4年ぶりぐらい記憶にない」と安どした。

 スタートラインに立ち、肩の力を抜いた。「絶対に頑張らないことを意識した」。10メートルは全力ダッシュ禁止。「賭けだったけど、その感覚を信じようと思った」。力みのないスタートからギアを上げた。最初の100メートルは9秒49でトップ。「頑張らないで負けたら悔いが残る」。イチかバチかの作戦で序盤で乗ると、最後はガス欠寸前の体にムチを打ってゴールを駆け抜けた。

 98年長野五輪で金メダルを獲得した清水宏保が10年に引退。全てを背負ったことを「自分がダメならこの競技は見放される。恐怖とプレッシャーで押しつぶされそうになった」と振り返る。2大会連続のメダルが期待された14年ソチは5位。長い競技生活で股関節や膝に痛みが生じ、その後はリハビリ生活も続いた。16年からは日本電産サンキョーの監督も兼務。だが、五輪プレシーズンとなった16年初戦は国内15位と惨敗すると現役に専念する決意を固め、退社の道を選んだ。

 15年春には第1子となる女児が誕生。家族が増えた大黒柱は「父親としてもっと成績出せるように頑張っていきたい」。この日も腰と背中に「嫌な張り」が出たが、現在所属する博慈会の医療スタッフが不安を和らげてくれた。支えてくれるすべての人のために、やるべきこと。「ここで喜んでいられない。目標は金メダルを獲ること」。頂点を目指す視線は4年たったこの日もぶれていなかった。

 ◆加藤 条治(かとう・じょうじ)1985年(昭60)2月6日、山形県山形市生まれの32歳。05年11月のW杯ソルトレークシティー大会で500メートル34秒30の世界新記録(当時)を樹立。500メートルで06年トリノ五輪6位、10年バンクーバー五輪銅メダル、14年ソチ五輪5位。今季は10月の全日本距離別選手権で4位。1メートル65、68キロ。

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