白鵬連勝止まった、“物言い”のち仁王立ち 横綱「品格」どこへ

[ 2017年11月23日 05:30 ]

大相撲九州場所11日目   ●白鵬―嘉風○ ( 2017年11月22日    福岡国際センター )

判定は覆らず嘉風(右)は引き揚げるが、仁王立ちのまま土俵に立ち続ける白鵬
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 全勝の白鵬が嘉風に寄り切られ、初黒星を喫した。土俵下で右手を挙げて山科審判長(元小結・大錦)に待ったをアピールし、土俵上でも再アピールしたが、立ち合いは成立。後味の悪い一番となった。白鵬を追う平幕2人は、北勝富士が豪栄道を押し倒し、隠岐の海とともに2敗を守った。

 横綱の「品格」が問われる最中に起きた、前代未聞の行為だった。嘉風に吹っ飛ばされて落ちた土俵下。起き上がった白鵬は右手を挙げた。「納得いかないというのはないけど、呼吸が合わなかった。手を突いたけど呼吸が合わなかった」。立ち合い不成立を訴えたが決着はついている。客席が騒然とする中、ぼう然と立ち尽くしたが、式秀審判員(元幕内・北桜)に「上がってください」と促され、土俵に上がった。

 わずか2秒9の相撲とは対照的に、土俵下にとどまったのは62秒。1分を超える猛抗議を終えて土俵に立つと、今度は首をひねって右手を広げた。横綱による異例の行動で館内はヒートアップ。「一回でも(映像を)見てもらいたかった」。審判にビデオの確認を求めたが、相手にされず不服の顔で20秒ほど仁王立ち。弓取り式の直前になって土俵を下りると、口を真一文字にして何度も首を振り、花道で待つ付け人にタオルを投げつけた。

 先に仕掛けた。左で張って踏み込んだが、立ち遅れた嘉風にまわしを取られた。相手の背に回る右手で待ったを主張したが、隙を突かれて一気に寄られた。「嘉風関も力抜いていたし、こっちも抜いた」と白鵬。だが、山科審判長は「スパンと(嘉風に)入られて“あっ”と思ったのでは」と切り捨てた。力を抜いたことに八角理事長(元横綱・北勝海)も「自分で判断しちゃダメだよ」と話した。

 中継したNHKのアナウンサーは「こんなことはあってはならないこと」と思わず実況した。式秀審判員も「物言いは審判か控え力士しかつけられない。大横綱だからといって、それはない。相撲は礼に始まり、礼に終わるものだ」と苦言。求められるのは「技量」だけではない。山科審判長は「手本になる人がねえ」とあきれ顔だった。

 ▽力士の物言い 相撲の審判規則によると、勝負判定に異議のある場合、控え力士も物言いをつけることができる。14年夏場所12日目の鶴竜―豪栄道戦では、豪栄道に軍配が上がった一番に対し、控えの白鵬が「豪栄道がマゲをつかんだ」と物言い。審判団がビデオを見て協議し、鶴竜の勝ちになった。

 【主な横綱のクレーム】

 ▽白鵬の審判批判 15年初場所13日目、稀勢の里と白鵬の一番は同体とされて、取り直しの一番で白鵬が勝った。しかし優勝一夜明け会見で白鵬は、この同体判定に「子供でも分かる」と審判部を批判した。

 ▽日馬富士の“待った” 17年秋場所3日目。琴奨菊に寄り切られた一番で日馬富士が「待った」を主張。立ち遅れ気味の琴奨菊に懐に入られて力を抜き、相手の背中をポンポンと叩いて棒立ちで土俵を割った。右手を挙げて再び「待った」を主張も、認められず。

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