稀勢崖っ縁!01年武蔵丸以来…ワーストタイ1場所5金星配給

[ 2017年11月21日 05:30 ]

大相撲九州場所9日目   ●稀勢の里―宝富士○ ( 2017年11月20日    福岡国際センター )

支度部屋でも厳しい表情の稀勢の里
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 横綱・稀勢の里が屈辱の黒星を喫した。平幕・宝富士に粘られ、土俵際まで追い詰めながら下手投げで敗れた。1場所5金星配給は01年秋場所の武蔵丸以来16年ぶりで、史上2度目のワースト記録。3日連続金星配給は先場所の日馬富士以来となり、これで4勝5敗と黒星が先行した。横綱・白鵬は平幕・千代の国を一蹴して全勝キープ。1敗は消え、2敗で大関・豪栄道ら6人が追う展開となった。

 勝負どころと思って前に出た。そして右上手を引いた。それでも稀勢の里は勝てなかった。宝富士に体を開きながらの左下手投げを打たれると、踏ん張れずに腹から落ちた。これまで16勝1敗と合口のいい相手に敗れたことを受け入れられなかったのか、5秒ほど両手をついたまま動けなかった。

 7日目からの3連敗。この間、支度部屋ではほとんど言葉を発していない。この日も「うん」や「うーん」と発した以外、質問には答えなかった。

 優勝制度ができた1909年(明42)以降、1場所で5個の金星を配給したのは、01年秋場所の武蔵丸と2人だけ。武蔵丸は11日目でワースト記録となり、その時点で6勝5敗。千秋楽まで土俵に上がり続けて9勝6敗で終えた。稀勢の里は2日早い9日目での5金星配給。黒星先行となり、武蔵丸より苦しい状況に追い込まれた。師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)はこの日の朝、「場所には出る。出るということは相撲が取れるということ」と話していたが、宝富士戦は横綱の相撲とは言えなかった。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は3場所連続休場からの再起を期す稀勢の里について、場所前に「苦しい場所になる」と見ていたが、この日は「それ以上だね」と話した。「左(の下手)を外すから回り込まれる」と技術的に足りない部分があることも指摘した。

 10日目は平幕・千代の国戦。その後は三役以上が相手となる見通しだ。このまま休場するのか、それとも出続けるのか。いずれにしても不安しか感じられない1敗となった。

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