日馬 謎の単独“帰京”、夜福岡Uターン 協会も「分からない」

[ 2017年11月16日 05:30 ]

羽田空港から福岡行きの便に搭乗する日馬富士
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 謎の“帰京”だ。10月25日夜に鳥取市内で行われた酒席で平幕・貴ノ岩(27=貴乃花部屋)にビール瓶などで暴行を加えたとされる横綱・日馬富士(33=伊勢ケ浜部屋)が15日、早朝の便で東京へ帰った。しかし、同日夜には福岡へUターン。また、被害届を受理している鳥取県警が傷害罪で捜査することも分かった。

 日馬富士の口から直接、暴行の経緯を聞こうと15日朝、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋に集まった約50人の報道陣は肩透かしを食った。関係者によると日馬富士はこの日早朝の便で、福岡空港から1人で東京へ向かった。

 緊急帰京だけではない。夜には羽田空港にマスク姿で現れ、福岡へとんぼ返り。空港では「治療したのか」「家族に会ったか」「部屋に戻るのか」といった報道陣の問い掛けに無言を貫き、午後10時30分ごろ部屋に到着した。角界を揺るがしている人物の不可解な行動は、さらに不信感を呼びそうだ。

 事件が表面化した3日目から休場している日馬富士。治療などで本場所中に休場力士が東京へ戻ること自体は珍しくない。しかし、渦中の横綱が、協会幹部が滞在している福岡を離れるとなると疑問符が付く。春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)は、帰京したことを把握しているとした上で首をかしげた。

 「なぜ帰るのか、分からない。俺が師匠なら帰さない。そばに置いておいた方が、いろいろ聞けるわけだから」

 相撲協会は14日に危機管理委員会の設置を決定。貴ノ岩の師匠、貴乃花親方(元横綱)と日馬富士の師匠、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の双方から説明を受け始めたばかりだ。しかも肝心の日馬富士からは、聴取できていない状況。伊勢ケ浜親方は、九州場所が行われている福岡国際センターで報道陣に対し「私からは何も話すことはない。話せる状況でもない」。幕内後半で審判長を務めた後も「朝、相撲以外のことはしゃべらないと言ったでしょう」と帰京の説明を避けた。関係者によると、協会執行部は15日午後も対応を協議したが、調査に進展はないという。

 一方、貴ノ岩側からの被害届をすでに受理している鳥取県警が、傷害容疑で捜査していることがこの日、分かった。県警は暴行に至った詳しい事実関係を調べ、日馬富士や関係者から事情を聴くとみられる。

 警察、協会双方が全容解明に乗り出そうとしていた矢先の“雲隠れ”。本紙報道でようやく事件が表沙汰になり、角界の隠蔽(いんぺい)体質も指摘されている。協会の調査と、県警の捜査の結果次第では引退もありうる横綱。非常事態で説明責任を欠く師弟の行動に、一層の批判は避けられない。

 ≪「バイキング」出演弁護士が同乗≫15日に放送されたフジテレビ「バイキング」で、徳原聖雨弁護士が、この日に緊急帰京した日馬富士と同便の航空機に乗ったことを明かした。徳原弁護士は「福岡から朝一の飛行機で来たんですけど、日馬富士関がお一人でいらっしゃいました」とコメント。おぎやはぎの小木博明が「一人だったの?」と聞くと、「さすがにちょっと聞けなかった」と言い、マスクをしていたため表情も分からなかったという。

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