日馬引退へ 暴行認め謝罪、警察が捜査 素手で20発超す殴打

[ 2017年11月15日 05:30 ]

貴乃花部屋宿舎を訪れるも、謝罪することができず厳しい表情で引き揚げる日馬富士
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 秋巡業中の10月下旬に鳥取市で幕内・貴ノ岩(27=貴乃花部屋)に暴行を加えた疑惑が浮上した横綱・日馬富士(33=伊勢ケ浜部屋)が14日、暴行の事実を認めて謝罪。その後、日本相撲協会に休場届を提出し、3日目から休場となった。すでに被害届が提出され刑事事件化の可能性は高まっており、引退は避けられない見通しとなった。

 スポニチ本紙の報道で明らかになった横綱による暴行事件は否定しようのない事実だった。日馬富士はこの日、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で朝稽古後に報道陣に対応し「貴ノ岩のケガについて貴乃花親方(元横綱)、貴乃花部屋、貴乃花部屋の後援会の関係者の皆さま、相撲協会、そしてうちの(伊勢ケ浜)部屋の親方に大変迷惑を掛けたことを深くおわび申し上げます」と頭を下げた。

 事件は10月25日夜、鳥取市内での酒席で起きた。日馬富士が貴ノ岩の頭部をビール瓶で殴打。倒れた相手をさらに馬乗りになって20発以上も素手で殴り続けたという。出席者は「横綱の怒りはすさまじく、誰も止められなかった。貴ノ岩の頭からは血が凄く流れていた」と証言。酒席には白鵬や鶴竜の両横綱も出席していた。11月13日に日本相撲協会に提出された診断書は「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間」。激しく殴打された事実を示していた。

 日馬富士は3日目から休場を決めた。14日、日本相撲協会に「左上腕骨内側上果炎、左尺骨神経痛で約6週間の治療を要する見込み」との診断書を提出。それでも、初日から力なく2連敗していた理由は、ケガによるものだけではなかったことは明らかだ。

 波紋は広がる一方だ。貴乃花親方が10月下旬、鳥取県警へ被害届を提出したことが判明。相撲協会は危機管理委員会を設置し、調査に乗り出すことを決めた。春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)によると、14日に伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と貴乃花親方の双方から事情を聴取。今後も調査し、協会としての処分を検討するという。

 鳥取県警はトラブルの有無など事実関係の捜査を進めており、日馬富士ら関係者から近日中に事情を聴くとみられる。傷害罪となれば、横綱の地位を保つことは難しい。かつて横綱・朝青龍は10年初場所中に都内の酒席で暴力事件を起こし、結局、騒動は収まらず責任を取る形で自ら引退を申し入れている。21年ぶりに全15日間の満員御礼が確実になった九州場所にも水を差した。各方面への影響は計り知れず、厳罰は必至。引退は避けられない状況となった。

 【暴行問題の経過】

 ▼10月25日? 鳥取巡業中の懇親会で日馬富士が貴ノ岩をビール瓶で殴打

 ▼10月末 貴乃花親方が鳥取に移動し、被害届を提出

 ▼11月5日 体調不良を訴えた貴ノ岩が福岡市内の病院に入院。同9日に退院

 ▼11月10日 九州場所初日、2日目の取組編成会議で貴ノ岩の休場が報告される

 ▼11月13日 日本相撲協会に貴ノ岩の診断書=写真=が提出される。「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間」

 ▼11月14日 日馬富士による暴行疑惑報道。日馬富士が謝罪し休場届を提出

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