スピードスケート姉妹、菊池家の目標 日本初の4人同時五輪だ

[ 2017年11月1日 10:20 ]

平昌冬季五輪まであと100日

5人姉妹の菊池家は4人同時での平昌五輪出場を視野に入れている(中央から時計回りで)五女・純礼、三女・悠希、次女・彩花、長女で美容師の真里亜さん、四女・萌水
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 平昌(ピョンチャン)冬季五輪(18年2月9日開幕)まで、1日であと100日となった。各競技の代表争いはいよいよ本格化。スピードスケートとショートトラックの両競技では、菊池姉妹の4人が平昌行きを狙っている。姉妹4人同時代表となれば、日本初の快挙となる。

 前回のソチ五輪にはスピードスケートの次女・彩花とショートトラック(ST)の四女・萌水が出場した。今回はSTの三女・悠希と五女・純礼も有力な代表候補だ。5人姉妹の菊池家は今、4人同時出場の可能性がある。

 長野県東部の山あいにある南相木村で育った姉妹は、幼い頃は一緒に立岩湖やアイスリンクに通って氷に乗った。だが、地元の中学を卒業してから、異なる歩みを続けている。4人が進んだ高校はバラバラ。スピードの彩花はもちろん、STを選択した3人も社会人となった現在、所属先も練習拠点も違う。普段連絡を取り合うこともほとんどない。「代表合宿で顔を合わせると“あっ、久しぶり”となる」(純礼)というほどだ。

 STはタイムではなく、着順を争う。誰かを蹴落とさなければ生き残れないシビアな競技だ。国内の大会では3人が同組で滑ることは珍しくない。姉妹といえどもライバル。おのおのが勝ち上がるために、「その時にベストだと思う道を選んできた」(悠希)。その結果が、姉妹の適度な距離感となっている。

 前回は右足の距骨を骨折した影響もあり、選考レースにも出場できなかった悠希は9月の全日本距離別の500メートルで優勝するなど今季は好調だ。「(萌水のソチ五輪代表入りは)うれしさと悔しさがあった。テレビで見て、私もここに出たいと思った」と今回に懸ける思いは強い。4季前高校生だった純礼は、全日本距離別で2冠を達成するなど日本のエース格に成長した。「ようやくちゃんと狙える時がきた。強い人が残る」。力強い言葉に覚悟がにじみ出る。

 一方、苦戦しているのはソチ五輪を経験している萌水。今秋はブレードが合わず低調で、W杯代表からただ一人漏れた。まだ確定していない五輪の出場枠は最大で5つ。12月の最終選考会に懸けており「可能性はゼロじゃない。とにかく頑張るのみです」と前を向く。

 ただ一人、スピードスケートに取り組む彩花は昨季の右足の負傷から復帰した。ライバル関係にもある4人が平昌五輪出場について語り合うことはない。だが、口には出さなくとも心は通じている。彩花は「全員で五輪に行くことが我が家の目標です」と姉妹みんなの気持ちを代弁した。

 【各代表の選考方法】

 ▽ショートトラック 9〜11月のW杯4戦の成績で出場枠が決まる。上位8カ国に与えられるリレーの出場権を確保すれば、個人の出場枠は5となる。9月の全日本距離別選手権とW杯派遣選手選考競技会、12月の全日本選手権(16、17日 名古屋市)の3大会の成績をポイント化し、上位者を選ぶ。

 ▽スピードスケート 11、12月のW杯4戦の成績で出場枠が決まる。男女最大で各10人。12月の五輪代表選考会(27〜30日 長野市)で、代表選手が確定する。また、W杯で一定数の表彰台(500メートルは3度など)に上がった選手は代表に内定する。

 ▽フィギュア 男子3枠、女子2枠。12月の全日本選手権(20〜24日 調布市)優勝者のほか、同大会2、3位の選手や12月のGPファイナル出場上位選手らから選出される。

 ▽カーリング 男子はSC軽井沢、女子はLS北見が出場。

 ▽アイスホッケー女子 2大会連続3度目の出場が決まっており、メンバー23人は年末に決定。

 ▽スキー(ジャンプ、複合、スノーボードなど) 昨年7月からのW杯ポイントなどに基づいて出場枠が決まり、来年1月22日に発表される。出場枠は各種目とも最大4人。日本スキー連盟は16〜17年、17〜18年シーズンの世界選手権やW杯で8位以内の成績を1回以上などの派遣推薦基準を定めている。

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