【岡崎真の目】羽生 攻めのフル構成で演技の最低ラインが上昇

[ 2017年10月22日 08:38 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第1戦ロシア杯最終日 ( 2017年10月21日    モスクワ )

演技を終え静かにポーズをとる羽生結弦
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 羽生が冒頭に挑戦した4回転ルッツは「さあ、4回転を跳ぶぞ」という仰々しさも気負いもなく、無理のないスムーズなジャンプの入りだった。着氷で少しこらえる感じにはなったが、すぐに立て直して流れを失わなかったことで、GOE(出来栄え評価)でプラスを引き出した。

 4回転ルッツを入れる代わりに4回転ループを回避したりするのではなく、フルの構成で攻めたことは素晴らしい。ミスを連発したオータム・クラシックよりも難度を上げながら、大崩れしなかった。演技の最低ラインが上がった印象だ。今大会は、ルッツを入れた時にプログラムがどうなるかを把握することが重要だった。五輪連覇に向けて、羽生と陣営の確かな戦略を感じる。

 チェンは昨季はジャンプ中心でプログラムが簡素化されている印象を持っていたが、今季はSP、フリーともに彼の表現がマッチするプログラム。今後さらに洗練されれば、演技点の評価も上がってくるだろう。金メダル争いの強力なライバルなのは間違いない。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2017年10月22日のニュース