村上、体操女子63年ぶり金!総合4位から逆襲 床運動で史上初

[ 2017年10月10日 05:30 ]

体操 世界選手権最終日 ( 2017年10月8日    カナダ・モントリオール )

女子種目別の床運動で初優勝した村上茉愛
Photo By 共同

 村上茉愛(21=日体大)が金字塔を打ち立てた。種目別決勝の女子床運動で14・233点をマークし、金メダルを獲得。日本女子では同種目初制覇で、全種目を通じても54年大会の平均台を制した田中(現姓池田)敬子以来、63年ぶりの世界一となった。日体大の同期、白井健三(21)は14・900点で跳馬で金メダルを獲得し、床運動と合わせて2冠。五輪を含めた世界大会のメダル数を「10」とした。

 時空を超えて、日本女子が表彰台の中央に立った。村上が高校時代、ジュニアの大会で「頑張りなさいよ」と声をかけてくれた人。それが、63年前に平均台を制した池田敬子さんだった。「凄い人にそう言われるだけで気が引き締まった」。床運動の1番手に登場し、H難度の「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」を完璧に成功。14・233点を誰も上回れずに戴冠が決まると、笑顔がはじけた。

 「人生の中で一番いい演技だった。やっと頑張ってきた成果が出せた。63年ぶりに金メダルを獲れたのが私で良かった」

 五輪翌年で女王・バイルスが休養するなど、リオデジャネイロの個人総合メダリストが不在の今大会。予選1位で金メダルも現実味を帯びていた6日の個人総合決勝は、平均台で落下して4位に終わった。試合後は悔しくて号泣。「種目別で獲らないと日本に帰れない。何色でもいいから、メダルを獲りたい」。逆襲を誓い、ダイナミックに、大人っぽく舞った。

 初出場の13年世界選手権は、床運動でメダルが期待されながら4位。同い年の白井健三は同大会の床運動を制した。15年4月、2人はともに日体大に進学。順調に結果を残す白井とは対照的に、村上は大不振も味わった。「健三にいつも“頑張って”と言われていたけど、メダルを獲れなくて。2人で金を獲れて良かった」。白井は跳馬を制した後、村上を必死に応援。表彰式を終えると金メダルを見せ合い、笑った。

 床運動予選1位のスミスが故障して棄権する幸運もあったが、勝ったことに意味がある。「この大会でメダルを獲れなかったら、もうメダルは無理と思っていた」。絶好のチャンスを生かし、「ムラカミ」の名をアピールした。「ここで獲っておくことで来年とか東京五輪に向けて、評価してもらえる。調子を落とさずにやっていけば、五輪でも確実にメダルを獲れる」。3年後のTOKYOへ。日本のエースは黄金の輝きとともに、大きな自信を手に入れた。

 ◆村上 茉愛(むらかみ・まい)

 ★生まれとサイズ 1996年(平8)8月5日、神奈川県相模原市出身の21歳。1メートル48、48キロ。

 ★体操歴 2歳で始め、小学校時代から池谷幸雄体操倶楽部で力をつける。15年4月に日体大に入学し、現在3年。

 ★主な実績 世界選手権は13年に初出場し、床運動で4位。16年リオデジャネイロ五輪で団体総合4位に貢献し、個人総合14位、床運動は7位。個人総合の全日本選手権は16、17年と連覇している。

 ★目標の選手 13年世界選手権から昨年のリオ五輪まで個人総合で、世界大会4連覇のシモーン・バイルス(米国)。今大会は休養で出場していない。

 ★ドラマ 05年12月にTBSのスペシャルドラマ「ウメ子」に子役で出演。

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