白井“異次元”の金!床の絶対王者 史上初2位に1点差以上大差

[ 2017年10月9日 05:30 ]

体操 世界選手権第6日 ( 2017年10月7日    カナダ・モントリオール )

男子種目別決勝の床運動で、H難度の「シライ3」を決める白井健三の連続合成写真(右から左へ)
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 種目別決勝の男子床運動で白井健三(21=日体大)が15・633点をマークし、2大会連続3度目の優勝を果たした。同一種目別の3度制覇は日本人初で2位と1・100点差は06年以降の世界選手権の男子全種目別で最大。個人総合銅メダルでオールラウンダーとして成長しただけでなく、スペシャリストとしても圧倒的な強さを見せつけた。女子跳馬の宮川紗江(18=セインツク)は8位に終わった。

 「シライ」の名が付く技を3つ組み込み、完成度も高い。出場選手中、難度を示すDスコアは断然の1位で、Eスコア(実施点)は2位。白井に勝てるわけがない――。フロアに充満する白旗ムードが心地良かった。「周りも諦めてくれているリアクションで、すごく自信になる。今年は他人と比べない床をやってきた。ここでも実現できて、自分に打ち勝てた」。金メダルをかけ、納得の笑みを浮かべた。

 日本初の同一種目別3度目の戴冠は、特別な意味を持つ。これまでは予選の数日後に種目別決勝という流れだったが、今大会は個人総合にピークを合わせて銅メダルを獲得し、中1日で床運動。「個人総合ですごく精神面を使ったので、あまり床に残っていなくて、それでもできた自分にすごくホッとした」。大本命ながら4位に終わったリオ五輪から1年。心身ともに、たくましく成長した。

 床運動では「ライバルは自分」と言う白井も、フロアを離れると意識する存在がいる。3学年上の兄・晃二郎さんが、今年6月に現役を引退した。選手としては活躍できなかったが、異例のスピードで国際審判の資格を取り、9月に国際大会デビューを果たした。「立場は変わっても、お互い高みを目指すのは変わらない。お兄ちゃんに負けたくない気持ちはある」と白井。6学年上の兄・勝太郎(コナミスポーツ)を加えた3兄弟は、良きライバル関係にある。

 予選の15・766点より点数を落としながら、2位に1・100点差。10点満点の採点ではなくなった06年大会以降、男子の全種目別を通じて最大の圧勝劇だった。「もっともっと試合で完璧を目指す癖をつけていきたい。個人総合では0・1点が大事になってくる」。オールラウンダーとしての成長をアピールするだけでは終わらない。史上最強スペシャリストとして「シライ」の名は刻まれた。

 ▼種目別での点差 10点満点の採点ではなくなった06年世界選手権以降、男子の種目別決勝で1位と2位が1点差以上ついたのは全種目を通じて初。女子では09年の段違い平行棒で1位の何可欣(中国)と2位の鶴見虹子が1・125点差、15年平均台の1位・バイルス(米国)と2位・ウェバース(オランダ)が1・025点差だった。

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