新入幕で敢闘賞の朝乃山、稀勢も認めるその実力

[ 2017年10月7日 10:00 ]

秋場所で新入幕ながら敢闘賞を受賞した朝乃山
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 大相撲の秋巡業が5日から始まった。9月の秋場所は3横綱2大関が休場したが、復帰を目指す稀勢の里、鶴竜の2横綱は巡業の初日から参加している。稀勢の里は初日から朝稽古の土俵に上がっており、その稽古相手に指名されたのが朝乃山だ。和製横綱は「体も大きいし、当たりも非常に強い。上を目指すことのできる力士」と23歳の新鋭を評価している。

 朝乃山は近大で三段目100枚目格付け出しの資格を得て、昨年春場所で初土俵を踏んだ。同じく三段目付け出しデビューでライバル視している小柳(現豊山)に新十両、新入幕とも2場所遅れたが、秋場所では立場が逆転した。幕内で結果を出せずにいる豊山とは対照的に、新入幕ながら10勝を挙げて敢闘賞を受賞した。

 右四つに組み止めた時の力強さには定評がある。稀勢の里との稽古でも右を差し勝つと一気に寄り切る場面もあった。迫力十分の相撲っぷりだが、その性格は謙虚でおとなしい。本人いわく「目立つのはあまり好きではない」という。秋場所は13日目終了時点で単独トップの豪栄道に1差と迫ったが「やらかしてしまった。上位が休んでいなければ4敗で優勝争いに入ることはなかった」とむしろ困惑するばかり。1914年夏場所の両国以来となる新入幕優勝の可能性が残っても「まったく考えていない」と欲のかけらも見せなかった。

 本人が目立ちたくなくても、結果を出せば注目されるのがプロの世界。稀勢の里に目をかけられたのも、秋場所の活躍があったからだ。自分が望んでも簡単には横綱と稽古することはできないことを知っているだけに「いい経験をさせてもらっています」と感謝の言葉を口にしている。

 所属する高砂部屋は1878年創設の名門。今年初場所は創設以来初めて関取が不在となったが、朝乃山の新十両昇進で不在は1場所にとどまった。師匠の高砂親方(元大関・朝潮)と同じ近大出身の新鋭は、部屋の期待だけでなく角界の期待を担う存在になり得る可能性を秘めている。秋巡業でどれだけ成長していくのか、楽しみでならない。(佐藤 博之)

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2017年10月7日のニュース