日馬、面目保った逆転V!豪栄を連破「土俵の神様が味方」

[ 2017年9月25日 05:30 ]

大相撲秋場所千秋楽 ( 2017年9月24日    両国国技館 )

安美錦(左)を旗手に優勝パレードに出発する日馬富士
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 日馬富士が歴史的逆転優勝を果たした。1差で追う豪栄道を本割で寄り切ると、11勝4敗で並んだ優勝決定戦はもろ差しから一直線に寄り切り、昨年名古屋場所以来、9度目の賜杯を抱いた。11日目終了時点での3差を逆転したのは史上初。本割、優勝決定戦で同じ相手に連勝し、逆転したのは今年春場所の稀勢の里以来となった。

 序盤に3連敗した姿から誰がこの逆転劇を想像できただろう。本割で勝利して並んだ豪栄道との優勝決定戦。鋭く低く踏み込んだ日馬富士は、もろ差しで反撃を許さず電車道で寄り切った。1場所で金星4個を配給しながら優勝した例はない。11日目終了時点の3差を逆転したのも初めてだ。「土俵の神様が味方してくれた」。苦境を乗り越えつかんだ賜杯は格別だった。

 昭和以降、初めて3横綱が初日から休んだ今場所。夏に古傷の左肘を手術することも考え、9日の土俵祭りでは「俺も休みたいよ」と漏らした。伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が「序盤は片手で相撲を取っていた」と明かすほど満身創痍(そうい)だった中、3日目の“珍事”が追い打ちをかけた。

 立ち合いで突っかけたところで琴奨菊が懐に入った。力を抜いて「待った」を主張したが、認められずに棒立ちのまま土俵を割った。引きずるように、その日から3日連続で金星配給。「(一人横綱は)初めての経験。序盤は心技体がうまく合わなくてバタついた」。3日目から高安、6日目から照ノ富士が休場。背負うものは大きくなった。

 悪い流れを断ち切るため、中盤からは場所入りで乗る車が白いワゴンから黒いセダンに替わった。「周りが気を使ってくれた。チームで戦っているわけですから」。そう感謝した横綱は「逃げる場所もない。前を向いて、明日を見つめて頑張りました」と突き進み、「命を懸けた」その先に賜杯が待っていた。

 4横綱時代で迎えた異例の“一人横綱場所”を締めくくり「いい経験させてもらいました」と頭を下げた。重圧を背負いながら務め果たした横綱。土俵の神様はこの先も味方してくれるはずだ。

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2017年9月25日のニュース