羽生 今季初戦SP、完調前でいきなり世界最高「一つ成長」

[ 2017年9月24日 05:30 ]

フィギュアスケート オータム・クラシック ( 2017年9月22日    カナダ・モントリオール )

オータム・クラシック男子SP 「バラード第1番」に乗り演技をする羽生
Photo By スポニチ

 今季初戦の羽生結弦(22=ANA)が男子ショートプログラム(SP)で、112・72点の世界最高得点をマークし、首位発進した。右膝痛のため難易度の低いジャンプに変更しながらも、完璧な演技で15年12月GPファイナルで自らが出した110・95点を2季ぶりに1・77点更新した。2連覇を狙う来年2月の平昌五輪へ向けて最高のスタートを切った。

 2季ぶりのショパン「バラード第1番」を情感たっぷりに滑り終えた羽生は何度もうなずいた。「ちゃんとここまでできたよ。ほら見て」。オーサー・コーチに向かって得意げに両手を広げた。約10日前に痛みが出た右膝の不安をものともせず、シーズン初戦でノーミスどころかいきなりパーフェクトな演技だった。

 「本当にミスがなく、質としても納得している。構成を落としても本番で全てを出し切ることは難しい。一つ成長できた」

 3つのジャンプを全てきれいに決めた。うち2つは出来栄え評価で最高の3・00点を引き出した。最大の歓声を浴びたのは基礎点が1・1倍になる演技後半にSPで初めて組み込んだ4回転―3回転の連続トーループ。くるくるとターンした直後に踏み切り、最後は両腕を頭上に伸ばして回転する高度なテクニックを披露した。

 右膝に負担のかかる右足踏み切りの4回転ループは回避し、ジャンプの基礎点を1・5点下げたが、おつりがくるほど完成度の高いジャンプだった。

 狙い通りのスタートダッシュ成功だ。過去に2度世界最高得点を出した「バラード第1番」は五輪シーズンで勝つために「(試行錯誤する)時間はない。プラスからスタートしたい」と選んだ曲。滑ってみると「その時の自分を表現できるプログラム。心地よい。自信を持って滑れる」と改めて好感触を得た。オーサー・コーチは非の打ちどころのない羽生の演技を「ユヅはオーケストラの指揮者だ。観客もジャッジもコントロールしている」と絶賛した。

 羽生は今後右膝が復調し、冒頭に4回転ループを入れられるようになれば、さらに得点の上積みが期待できる。今季は2位につけている前世界王者のフェルナンデスらライバルたちの仕上がりも早いが、王者の存在感は別格だ。

続きを表示

この記事のフォト

2017年9月24日のニュース