【上水研一朗の目】ウルフは高い戦術遂行能力で技術不足補った

[ 2017年9月4日 09:05 ]

柔道世界選手権第6日 ( 2017年9月2日    ハンガリー・ブダペスト )

 海外の選手に対する技術的な完成度が6、7割程度のウルフが優勝できた理由は、高い戦術遂行能力にある。長所は馬力に裏打ちされたスタミナ。試合の前半は我慢し、後半に勝負する。準々決勝のガシモフ、準決勝のコレル、決勝のリパルテリアニといずれも一筋縄ではいかない難敵だったが、どの試合も相手が疲れた後半に、大内刈りで技ありのポイントを奪った。自分が今できる戦いの範囲内で、ベストの選択ができていた。

 決勝では下から突き上げる釣り手になるまで我慢したことが、相手を仕留めることのできた要因だ。大学入学当時は相手を抱くような釣り手だったが、これでは力勝負となり、長身の外国人相手には通用しない。段階的に指導してきたが、4年生となりその部分は抜群にうまくなった。今後は外国人にも通用する担ぎ技や寝技を身につけ、隙のない完成された状態で東京五輪を目指してほしい。

 朝比奈は、決勝の後半で相手が掛け捨て気味の技を連発した時、対応できなかった。準決勝までは堂々とした戦いぶりが光っただけに、今後は組み手の早さと立ち技から寝技への移行を課題として取り組んでほしい。(東海大体育学部武道学科准教授、男子柔道部監督)

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2017年9月4日のニュース