張本ワールドツアー最年少V!14歳“怪物”が歴史塗り替えた

[ 2017年8月28日 05:30 ]

卓球ワールドツアー チェコ・オープン最終日   張本4―2ボル ( 2017年8月27日    チェコ・オロモウツ )

卓球のチェコ・オープンで史上最年少優勝を果たした張本智和(国際卓球連盟提供・共同)
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 男子シングルス決勝で、世界ランク20位の張本智和(エリートアカデミー)が、元世界1位で現7位のティモ・ボル(36=ドイツ)を4―2で撃破し、初優勝を飾った。14歳61日でのシングルス優勝は男女通じてツアー最年少。これまでの記録は女子の伊藤美誠(スターツ)の14歳152日で、男子は于子洋(ウシヨウ)(中国)の16歳30日だった。世界選手権で史上最年少8強に進撃した中学2年生が、また卓球界の歴史に名を刻んだ。

 試合中に何度も響いた「チョレイ!」の雄叫びが、戴冠のシーンにはなかった。張本のフォアハンドをボルが返球できずに優勝が決まると、両手を広げて静かに歓喜に浸った。14歳61日でのシングルス制覇は男女通じてツアー史上最年少。これまでも世界ジュニア金メダル、世界選手権8強と年少記録をマークしてきた。またも卓球界の歴史を塗り替えた怪物は試合後、ツイッターに喜びをつづった。

 「全部辛(つら)い試合だったけど乗り越えられて良かったです!またひとつ上の舞台に立てました。もっともっと上の舞台に立てるようにまた頑張ります!」

 今月5日、プロリーグ・アジア太平洋リーグの水谷隼との試合で、張本はアクシデントに見舞われていた。「台から少し出るボールを打とうとして、無理に振り切ってしまった」と右手を台にぶつけ、親指付け根付近に裂傷を負った。流血し、そのまま棄権。場内は騒然となった。ラケットを握れなかったのは数日だけと幸いにも軽傷で、「騒ぎになったのに、これくらいのケガで済んで申し訳なかった」と14歳には笑顔で振り返る余裕があった。

 コートを離れれば、シャイな中学2年生。この遠征には、英語や数学など夏休みの宿題を持参した。「早めに負けたらたくさん現地で宿題ができるし、勝てば気持ちが楽になって、(日本に)帰ってギリギリでも頑張れる」。最終日まで奮闘したため、宿題はそれほどこなせなかっただろうが、このタイトルが勉強のラストスパートを可能にするはずだ。

 今年後半の目標にワールドツアー優勝と世界ランク10位以内を掲げていたが、1つクリアした。1月は64位だった世界ランクも、7月に自己最高の18位をマーク(現在は20位)し、年内のトップ10入りの可能性も十分にある。「とんでもないところまでいけるかどうかは、毎日の過ごし方次第」。20年東京五輪の金メダルへ。謙虚に汗を流す14歳には、不可能なことなんて何もない。

 ◆張本 智和(はりもと・ともかず)2003年(平15)6月27日、宮城県仙台市生まれの14歳。2歳で卓球を始める。両親は中国出身の元卓球選手で、14年に日本国籍を取得した。16年にエリートアカデミーに入校すると同年の世界ジュニア選手権のシングルスを史上最年少の13歳163日で制し、今年の世界選手権でも史上初めて13歳で8強。1メートル71、57キロ。

 ▼ワールドツアー 国際連盟が主催する国際大会。格が最も高い「プラチナイベント」は今年は日本開催の荻村杯ジャパン・オープンなど6大会。張本が優勝したチェコ・オープンは格が落ちる「レギュラーイベント」で6大会、さらに下に「チャレンジイベント」が11大会あり、ツアー上位選手でグランドファイナルが行われる。

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