奥野 金メダル!沙保里魂“継承” 伊調馨以来18歳女王

[ 2017年8月25日 05:30 ]

レスリング世界選手権第3日 女子フリースタイル55キロ級決勝   奥野5―4アデクロイエ ( 2017年8月23日    パリ )

レスリングの世界選手権女子55キロ級で優勝し、日の丸をまとい感極まった表情の奥野春菜
Photo By 共同

 レスリング世界選手権第3日は女子4階級が行われ、非五輪階級の55キロ級は奥野春菜(18=至学館大)が、決勝でオドゥナヨフォラサデ・アデクロイエ(23=ナイジェリア)を5―4で下し、初出場で優勝を果たした。一志ジュニア教室で吉田沙保里の父・栄勝さんの指導を受けた“吉田イズム”の継承者。かつて吉田が五輪3連覇した55キロ級で華々しく世界デビューを飾った。75キロ級は鈴木博恵(30=クリナップ)が3位決定戦に勝って銅メダルを獲得した。

 飛び級出場の18歳が大きな期待に100%応えた。「代表に決まってからこの大会で優勝することだけ考えてきた。重圧から逃れ、安心している」。まだ硬さの抜けきらない表情のまま、奥野はホッと息をついた。

 決勝は上背があり、懐の深いナイジェリア選手との対戦だった。「手足も長いので中途半端には中に入らないと決めていた」。同点で迎えた第2ピリオド序盤、機を見て電光石火の片足タックルがさく裂した。終盤は守勢に回って追い上げられたが、吉田印のタックルが勝敗を分けた。

 高3の昨年はインターハイ3連覇を達成し、世界カデット(16〜17歳)も制した。今年は世界ジュニア(18〜20歳)に挑むはずだったが、4月の大会で53キロ級の向田真優(20=至学館大)に負けた後、栄和人監督から55キロ級でのシニア挑戦を勧められた。

 53キロ級からの階級変更に割り切れない思いはあったが、国内選考を勝ち抜いて代表入り。初出場で02年の伊調馨以来となる18歳女王にまで上り詰めた。栄氏は「かつては山本美憂のように17歳で優勝した選手もいたが、レベルが上がった今は18歳での優勝は並大抵じゃない」と称えた。

 一志ジュニアから久居高を経て至学館大へ。そのキャリアは吉田の足跡と重なる。「いろいろといる理想の選手のピラミッドの頂点にいるのが沙保里さん」という憧れの存在。しかし18歳での初戴冠は20歳だった吉田をしのいだ。その背中を追いかけてきた奥野が、吉田と東京五輪を争う選手へと飛躍を遂げた。

 ◆奥野 春菜(おくの・はるな) 1999年(平11)3月18日、三重県出身。一志ジュニアで2歳からレスリングを始め、52キロ級で14〜16年にインターハイ3連覇。昨年は世界カデット選手権優勝、全日本選手権は53キロ級で5位。今年6月の全日本選抜選手権は55キロ級で14年世界女王の浜田を破って初優勝を果たした。1メートル58。

 ▼吉田沙保里(テレビ解説で来場) 最後は弱気になったけど何とか勝ってくれて良かった。これからも頑張ってほしい。

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2017年8月25日のニュース