松山泣いた メジャー初V目前で失速…「勝てる人になりたい」

[ 2017年8月15日 05:30 ]

米男子ゴルフツアー 全米プロ選手権最終日 ( 2017年8月13日    米ノースカロライナ州シャーロット クウェイルホロー・クラブ=7600ヤード、パー71 )

全米プロ最終日 勝ちたかった…インタビュー中に悔し涙を見せる松山
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 松山が泣いた。最愛の家族にメジャー初制覇を届けられなかった。2位から出た松山英樹(25=LEXUS)は5バーディー、6ボギーの72で、通算5アンダー、279で5位に終わり、日本男子初の快挙を逃した。松山は14日に一般女性と今年1月に結婚し、7月に第1子が生まれたことを発表。心機一転、来季のメジャー優勝を目指す。24歳のジャスティン・トーマス(米国)が通算8アンダーで優勝した。

 悔し涙があふれた。ラウンド後はこらえていたが、取材対応中に感情を抑えきれなくなった。「悔しいです」とだけつぶやくと、あの松山がタオルで顔を覆ってしゃがみ込んだ。勝利は確かに手の届くところにあった。だからこそ、落胆も大きい。「気持ちの部分も成長しないといけないし、自信を持って打てるような技術もないのかな」。立ちはだかる壁の高さに肩を落とした。

 たった1打で歯車が狂った。1つ伸ばし首位で迎えた後半。10番でバーディーを奪った後に暗転した。11番パー4。「良いティーショットだった」と振り返る第1打はフェアウエー真ん中。しかし残り150ヤードからPWで放った第2打はグリーンを捉えられず、ここから痛恨の3連続ボギーで後退した。

 「(第2打で)大チャンスにつけられる位置からボギーにしてしまい、ふがいないと思った。その後の流れが悪くなる原因をつくってしまった」。スコア以上に精神的ダメージを受けた。連続バーディーで盛り返し、ラスト3ホールの難関「グリーンマイル(死刑台への道)」に望みをかけた。だが、第1関門の16番で1メートル強のパーパットを外すと、パターを放り投げた。白旗を揚げた瞬間だった。

 「最後の3ホールまで近いところにはいたので、そういう意味では(優勝は)近かった」。ウエッジのフェースには、スピンをかけるための加工が施されており、一般にスピンがかかりにくくなると交換のメドとされる。松山のクラブ担当者は「日本ツアーの選手の平均交換頻度が約1カ月に対し、松山選手は1週間単位。芝の違いによる摩擦の差もあるが、なにより練習量の違いが交換頻度に表れている」と話す。圧倒的な練習量が悲願への距離を縮めたのは確か。世界ランクも自己最高の2位に復帰した。

 涙が乾くと「このぎりぎりのところでやれるのは楽しいし、そこで勝てればなおさら楽しいと思う」と瞳に再び闘志がともった。

 松山はどうしても勝ちたい理由があった。家族の存在だ。結婚後、既に2勝。夫として父としての責任感が力となっている。日本男子初の偉業は来年にお預け。「ここまで来た人はたくさんいると思うし、これから勝てる人と勝てない人の差が出てくる。勝てる人になりたい」。家族とともに松山が悲願へ新たな一歩を踏み出した。

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