【高野進の目】リレー日本代表 10秒前半が6人、本当にいいチーム

[ 2017年8月13日 07:30 ]

陸上世界選手権第9日 男子400メートルリレー ( 2017年8月12日    英ロンドン・ロンドン競技場 )

男子4×100メートルリレー決勝、3位を喜ぶ(左から)藤光、多田、桐生、飯塚
Photo By スポニチ

 予選でほぼ同タイムだった中国が日本のライバルになると思っていたが、抜群の飛び出しを見せた1走の多田で勝負が決まった。2走の飯塚、3走の桐生もワールドクラスの走りを披露。経験豊富な藤光も安定感が光った。サニブラウン、ケンブリッジの2人のエース格を欠いても変わらないパフォーマンスを見せた日本。9秒台は一人もいなくても、10秒前半の同じスピードレベルの選手を6人そろえられたことで本当にいいチームになった。

 長年にわたりナショナルチームとして定期的に集まって練習をしてきたたまものでもある。バトンパスに関しては日本陸連の科学委員会の分析も成果として出ている。今後は個人でも結果を残し、短距離が強い日本のイメージを世界に植えつけてほしい。

 途中棄権となったボルトに関しては、軽く手を振ってすぐに競技場を後にした姿が印象的だった。残酷だが、筋書き通りに終わらないのが勝負の世界。見ている人に“まだやれる”ではなく“もういいよ、ボルト”と思わせてくれた寂しくもドラマチックな幕切れだった。(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

続きを表示

2017年8月14日のニュース