ボルト、最後の100メートルは3位 ガトリンが優勝!日本勢は準決勝で全員落選

[ 2017年8月6日 15:25 ]

ガトリンとコールマンに競り負けたボルト(AP)
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 陸上の世界選手権(ロンドン)は5日に2日目の競技を行い、男子100メートルの決勝ではこの大会で4度目の優勝を狙ったウサイン・ボルト(30歳=ジャマイカ)が9秒95の3位に終わり、現役最後の個人種目で世界の頂点に立つことはできなかった。

 4レーンを走ったボルトのリアクションタイムは8人中7番目の0秒183。隣の5レーンを走ったクリスチャン・コールマン(21歳=米国)はトップの0秒123で、スタートの瞬間だけで100分の6秒も出遅れる結果となった。ボルト本人も「準決勝(3組2位)のあと、こんなスタートをやっていたら苦戦すると思った。でも決勝ではブロックを蹴った瞬間“あ〜”と落胆してしまった」とミスを認める最悪のスタート。得意の60メートルからの加速で先行するコールマンを追い上げたが、今度は8レーンから猛追してきたジャスティン・ガトリン(35歳=米国)に追い抜かれるという全盛期にはなかったまさかの展開となった。

 優勝したのはガトリンで9秒92。2005年のヘルシンキ大会以来、12年ぶりの覇権奪回で、2度の薬物違反による処分を経て再び頂点に登りつめた。前回の北京大会(2015年)の決勝ではボルトに先行しながら、体を倒すのが速すぎてゴール直前で失速。100分の1秒差で涙を飲んだが、ロンドンでは最後まで上体を起こして加速。ボルトの“仇敵”とあって競技場内はブーイングに包まれたが、100分の3秒差でライバルに競り勝った。

 「ブーイングされるのは理解している。でも僕はレースに集中することだけを心がけた。これまで負け続けたけれど、それは僕にとってはいいレッスンだった。彼(ボルト)に勝つことがずっと目標だった。年齢は自分の方が上だけど、尊敬していた」とガトリンはレースが終わるとボルトと10秒間にわたって抱擁を交わし、「あなたは優勝者にふさわしい」と声をかけられるとトラックにひれ伏してひとあし早く陸上界を去っていくヒーローに畏敬の念を示した。

 全米学生の覇者で今季世界最高の9秒82をマークしていたコールマンが9秒94で2位。ボルトはコールマンをとらえられず、そしてガトリンに抜かれるという形で現役最後の100メートルを終えた。「どんな結果であれ受け入れるつもりだった。自分は偉大な選手に負けたのだ。後悔することは何もない。この1年はファンのために走った。ベストを尽くしたと思う」とウイニングランはできなかったが、メジャー大会で初めての銅メダルを手にして場内の大歓声を聞きながらトラックをあとにした。

 世界記録を保持している200メートルには出場しないため、残るは12日(日本時間13日)の400メートル・リレーのみ。五輪で3大会連続の短距離2冠を達成し、世界選手権では11個の金メダルを獲得した“超人伝説”のクライマックスはもう目前に迫っている。

 なお決勝の2時間40分前に行われた準決勝では、1組で走ったケンブリッジ飛鳥(24歳)が10秒25で6位。日本勢ではもっとも期待されたサニブラウン・アブデル・ハキーム(18歳)はスタート直後につまずいて失速して10秒28に終わり2組の7位。3組に出場した多田修平(21歳)も10秒26で5位となって3人とも決勝には進出できなかった。

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