サニブラウンに追い風、「殺人」北京より体に優しい走路好感触

[ 2017年8月4日 05:30 ]

雨でフードを被りサブトラックを移動するサニブラウン
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 陸上の世界選手権が4日(日本時間5日午前2時)に英国ロンドンで開幕する。初日の男子100メートル予選に登場するサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)は、会場となる競技場のサブトラックなどで調整し、好感触を得た。超高速トラックだった15年北京大会では、1本走っただけで体に大きなダメージを受けたが、今回のトラックは適度な反発力のため、好記録が期待できそうだ。

 大会会場に初めて足を踏み入れたサニブラウンの表情がほころんだ。2日の練習はあいにくの雨。室内走路での練習になったものの、競技場と同じ材質のトラックを確かめ、好感触を口にした。

 「ロンドンに来ることが初めてで会場の雰囲気は凄いな、という感じです。北京が“殺人トラック”だったので。そこまでではないなという印象です」

 15年北京大会ではそんな過激な表現を使いたくなるほど体にダメージを負った。高反発で有名な通称「鳥の巣」で走り、200メートルは準決勝で5位敗退。予選で走った疲労が抜けきらず「体が思うように動かなかった」のが要因だ。超高速トラックはスピードが出る半面体への負担が大きかった。

 今大会で使用するロンドン五輪競技場のトラックは、北京の「鳥の巣」と同じモンド社製ながら、日本代表・土江寛裕短距離コーチによると「北京ほど反発は強くない」という。今大会は100、200メートルだけでなく、400メートルリレーでも期待が懸かる。前回大会よりも出場種目が多くなるだけに、適度な反発力のトラックは、まだ体が未完成の18歳にとって追い風になる。

 今年の冬季練習から指導するレイナ・レイダーコーチ(米国)は「今まで教えた18歳の中で一番。言ったことをすぐ吸収し、言い返さない素直な心を持った選手。決勝を狙わせたい」と話した。サニブラウンは「何が起こるか分からない。やれることは全てやってきた」と自信を口にする。予選、準決勝で体力消耗を抑え、師の目標の決勝に近づく。

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2017年8月4日のニュース