悩める萩野に求められる成熟 北島康介氏「肩の力を抜いて」

[ 2017年8月1日 05:30 ]

水泳・世界選手権最終日 男子400メートル個人メドレー決勝 ( 2017年7月30日    ハンガリー・ブダペスト )

男子400メートル個人メドレー決勝、レースを終え引き揚げる萩野
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 競泳男子400メートル個人メドレーで、リオ五輪金メダリストの萩野公介(22=ブリヂストン)は4分12秒65の6位に沈んだ。今大会は200メートルの銀メダル1つだけと不本意な結果で苦悩するエースに対し、五輪金メダリストの北島康介氏や平井伯昌ヘッドコーチが助言を送った。今大会の日本勢のメダルは銀4、銅3の計7個で金メダルはゼロに終わった。

 1年前の五輪金メダルから6位に転落した萩野は「正直悔しい気持ちはあるけれど、今の実力だと思っています」と力不足を認めた。昨秋の右肘手術で出遅れ、泳ぎの調子が上がらない中で迎えた今大会は金メダルを狙った200メートル個人メドレーで2位。リオ五輪3位だった800メートルリレーでは自己ベストから2秒以上遅れてチームは5位。20年東京五輪へ向け、不本意なスタートとなってしまった。

 萩野は今、競技人生の壁にぶち当たっている。リレーのレース後はふがいない結果に泣き崩れるほど傷ついた。萩野のマネジメント事務所の社長も務める北島康介氏は悩める後輩に「0か100かじゃなくて、肩の力を抜いて、割り切って取り組めばいい」と助言した。北島氏はかつて調子が悪くても最大限の泳ぎをつくり、自身の持ち味である積極的なレースを貫いた。完璧なものを追求し過ぎる萩野に「3か4の力しかなくても5か6までは上げる粘りが欲しい」と求めた。

 指導する平井コーチは「必要なのは総合力。人間力を含め強化しないといけない」という。優勝したケイリシュら米国の選手は大学時代は学業優先で練習時間が制限されるが、社会人になって練習量も増えると記録が一気に向上する傾向があり、「米国は学業も重視し、人間としての成長も考えている」と指摘。萩野がさらにスケールアップするために「萩野ほど練習を頑張る選手はいない。水泳を取ったら何の魅力もない人間になってほしくない」と訴えた。

 悩み抜いた8日間が終わった。萩野は「(平井コーチから授かった)克己心という言葉を学んだ。未熟な部分が見えて、有意義な大会になった」と懸命に前を向いた。

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2017年8月1日のニュース