カープ女子かウィンブルドンか 二宮真琴の究極の選択

[ 2017年7月15日 10:30 ]

ウィンブルドン女子ダブルスでペアを組んだ二宮(左)とボラコバ
Photo By 共同

 ウィンブルドンの権威か、カープ女子の矜持(きょうじ)か。

 普段なら決して並び立たない命題に立ち向かう羽目になったのが、ウィンブルドン女子ダブルスで4強入りの快進撃を見せた二宮真琴(23=橋本総業)だった。

 広島県広島市生まれで、お気に入りは堂林翔太というカープ女子。ゲンは担がないタイプだが、今大会はハートに「Carp」の文字が彫られた金色の髪留めを使って勝ち続けてきた。

 14日の準決勝前も二宮はこれまで通りに練習を終え、試合に向けた準備をしていた。すると大会関係者がロッカーにやってきて、髪留めのことを尋ねてきた。

 「それには何て書いてあるんだ?」

 「日本の野球チームの名前です」

 「それは宣伝になるからやめてくれ」

 二宮は当惑したものの、「確認してみるがおそらくダメだろう」とにべもなく伝えられたという。

 ドレスコードはウィンブルドン特有のルールの1つ。選手は白いウエアの着用を義務づけられている。「白にはオフホワイトやクリーム色も含んではならない」と厳格で、「大きなメーカーロゴは奨励できない」というシューズに関する規定もある。

 二宮は忠告に従って髪留めを止め、ヘアゴムに切り替えた。そして臨んだ準決勝は2時間58分の熱戦となり、6―7、6―4、7―9のスコアで惜敗。「悔しいけど今の自分ができることは精いっぱいやった」と力を出し切っての敗戦だった。

 試合中に見えていた赤いヘアゴム。実は目の前で見なければ判別できないほど小さな「C」マークの飾りがついたカープグッズだった。

 「赤いのは他にもあるけどこれにしようと思った。一応カープのゴムで“C”って書いてあるから」と微笑んだ二宮。

 決勝進出まであと一歩で力尽きたウィンブルドン。しかしカープ女子のカープ愛は最後まで屈しなかった。(テニス担当・雨宮 圭吾)

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2017年7月15日のニュース