稀勢“休場危機”先場所に続き途中で…親方「様子見て決める」

[ 2017年7月14日 05:30 ]

大相撲名古屋場所5日目 ( 2017年7月13日    愛知県体育館 )

勢(右)に小手投げで敗れる稀勢の里
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 横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)が2場所連続途中休場の危機に陥った。ここまで15戦負けなしの平幕・勢(30=伊勢ノ海部屋)との一番は右からの小手投げで敗れ向正面に落下。序盤を終えて2勝3敗と再び黒星が先行した。不安を抱える左上腕などに加え、この取組で左足首を負傷して病院で診察を受けた。今後、出場するかどうかは、6日目(14日)の朝の状態を見て判断することになった。

 取組を終えて花道を引き揚げるまでは毅然(きぜん)としていた稀勢の里だが、花道を抜けると表情をゆがめた。支度部屋に向かう通路では、歩みを止めて膝に手をついた。そして、左足をかばいながら風呂場に入った。支度部屋では報道陣の質問に無言を貫いた。左足を引きずりながら車に乗り込み、病院に向かった。

 まさかの黒星で深刻な事態に陥った。幕内通算700勝に王手をかけて臨んだ一番。勢には大関時代の13年春場所での初対戦から15連勝中で、2場所ぶりの対戦でも得意の左四つに組み止めて左下手を引いた。だが、右から小手に振られると左下手が切れ、2度目の小手投げで土俵を割った。向正面の立行司・式守伊之助の上に落下。この際に負傷したようだ。

 師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は午後8時半ごろ、愛知県長久手市の田子ノ浦部屋で取材に応じ、「今、直接話した。(痛めたのは)左足首。骨には異常がない」と説明。6日目の出場については「明日(14日)の様子を見て、相撲を取れるか確認して決めたい」と話した。患部は幾分、腫れているもようだ。

 左上腕などに不安を抱え、初日から不安定な内容が続いた。勢に初めて敗れ、5日目で3敗目。今場所以上に左上腕の状態が思わしくなかった夏場所ですら、3敗目を喫したのは9日目だった。八角理事長(元横綱・北勝海)は「右からの抱え込みが甘い。(出て行くときは)足を送っていかないと駄目」と雑な相撲内容を指摘した上で「万全じゃない感じ。何度も言うが苦しい場所」と話した。

 10日目から途中休場した夏場所後の横綱審議委員会では「(左上腕などが)完治するまで休んだ方がいい」という意見も出ていた。その状況で出場しながら再び途中休場となれば、進退問題にも発展しかねない。

 この日の朝稽古後、稀勢の里は休場明けについて「(1度しか)経験したことがないから分からない。やることをしっかりやるだけ」と前向きに話した。だが、相撲内容が上がらない上に、追い打ちをかける負傷。和製横綱を取り巻く状況は極めて厳しくなった。

 ≪5日目までに3敗は先場所の鶴竜以来≫稀勢の里は4個目の金星配給。新横綱の春場所は平幕に全勝だったが、夏場所は4日目に遠藤、9日目に栃煌山に敗れ、今場所は3日目の栃ノ心に続いての配給。稀勢の里が5日目までに3敗したのは、大関だった15年春場所以来。幕内では20度目。横綱が不戦敗を除き5日目までに3敗したのは先場所の鶴竜(4日目に3敗→5日目から休場)以来。白鵬、日馬富士は横綱昇進後、序盤の3敗はない。

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