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ラグビー日本代表、消えたレガシー 19年W杯へ今すべきこととは

25日のアイルランド代表戦に敗れ、肩を落とす日本代表フィティーン
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 レガシー(遺産)は消滅した。

 6月、初戦でルーマニアに33―21で勝利した後、アイルランドに22―50、13―35で2連敗したラグビー日本代表の戦いぶりを振り返って、そんな感想を持っている。

 レガシーとはもちろん、歴史的3勝を挙げた15年W杯イングランド大会まで日本を率いたエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(現イングランドHC)が、在任期間中の代表スタッフや選手とともに築き上げたラグビーだ。世界一のフィットネス、ボール保持を徹底した連続攻撃、膝下に突き刺さる低いタックル、反則をしないディシプリン(規律)の高さ、などなど。そのどれもが、見る影もなくなっている。

 全英愛代表ライオンズに招集された主力11人が不在で、1・5軍とも2軍とも例えられたアイルランド代表だったが、世界ランキング3位のラグビー大国の選手層は、日本のそれよりも数倍も厚い。「1軍」と「1・5軍」の実力差は拮抗(きっこう)しており、その意味では2連敗という結果自体は受け入れている。しかし前述のような強みが消えた点は気がかりだ。

 振り返れば15年8月25日、宮崎合宿中だった本人不在のジョーンズ前HC退任発表会見で、日本ラグビー協会の坂本典幸専務理事は、後任の人選についてこう言った。

 「エディーさんがつくってくれたラグビーを継承できないと意味がない」

 しかし実際に就任したニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフHCは、エディーのラグビーを継承しているとは言いがたい。戦術は大きく変わった。タックルも海外の大きな選手が嫌がった低さは失われた。代表合宿での練習量は大きく減り、基礎体力や技術のビルドアップよりも、戦術の落とし込み中心の練習に切り替わった。ヘッドスタートと呼ばれた午前6時からのウエートトレーニングは一切行われない。「継承」という後任選びの大前提は反故(ほご)にされ、断絶されたとすら感じるありさまだ。

 19年W杯まで残り2年2カ月あまり。残された時間は決して長くない。ジョセフHCも、このままの成長スピードでは目標の8強以上に届かないことは重々承知だろう。今ごろ頭を悩ませているとは思うが、前体制の成功事例を取り入れるといった、柔軟さが必要ではないかと思う。

 例えばジョーンズ前HCは、合宿中は完全管理型と言える体制を敷いた。練習時間はきっちりと守られ、選手個々の食事内容に目を光らせる。食事会場への携帯電話の持ち込み、宿舎内では自室以外のサンダル履きが禁止だった。細かいルールはその他にもたくさんあった。一見すれば、そこまでやるかと言いたくなる。しかし4年間のそうした小さな積み重ねが、15年W杯で選手の一体感を生み出し、最も反則数が少ないチームをつくったとも言える。一方で現体制では、そうした厳しいルールはなくなった。昨年11月の代表活動中、15年W杯を経験したあるベテラン選手は、そうした「緩さ」を危惧したという。

 この6月に代表復帰したリーチ・マイケル(東芝)は、ジョセフHCとのやりとりで、指揮官のある言葉を披露してくれた。

 「目標を決めるのは選手。選手の決めた目標に向かってコーチングをするのがコーチの仕事」

 この考えは正しい。ジョーンズ前HCですら、15年8月31日のW杯代表メンバー発表会見の際に「選手を育てるのは自分の役割ではない」と言い切った。しかしそうは言いながらも、現状の日本ラグビー界にはそのシステムが整っていないことを悟り、自分の目の届くところで徹底的に鍛えた。

 ジョセフHCも本意ではないだろうが、まずは協会任せ、選手任せをやめたらどうだろうか。11月には世界ランキング4位のオーストラリアやフランスと対戦する。秋も惨敗続きなら、志半ばの解任も議論されることになるだろう。そうなる前に、手を尽くせることはたくさんあるはずだ。(記者コラム・阿部 令)

[ 2017年7月5日 10:15 ]

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