多田、世陸の目標は「準決勝進出」 パウエルに恩返しの走りを

[ 2017年7月4日 05:30 ]

関学大で行われた記者会見で笑顔の多田修平
Photo By 共同

 陸上の世界選手権(8月4日から、ロンドン)に初出場する男子100メートルの多田修平(21=関学大)が3日、兵庫県西宮市の大学で会見した。「準決勝進出」を目標に掲げる初の世界大会は、成績を残す以外にもう一つ目的がある。飛躍のヒントを与えてくれた元世界記録保持者のアサファ・パウエル(34=ジャマイカ)に恩返しの走りを見せることだ。

4 アスリートの恩返しは、パフォーマンスを向上させることに限る。笑顔が絶えることがない多田が世界選手権で思いをはせるのは、パウエルとの共演だ。

 「アメリカでパウエルと一緒に合宿をした。僕の走りが進化したというのを見せるために、一緒に走りたい」

 この数カ月で、無名の存在から10秒08の自己記録を持つ9秒台候補まで駆け上がった背景には、世界的選手と過ごした日々があった。大阪陸協主催のプログラムで2月に渡米。テキサス州での3週間、元世界記録保持者と一緒に練習をするという貴重な体験をした。

 腰が曲がりすぎていたスタート時の構えなど、技術面はパウエルの兄、ドノバン氏に教わった。世界歴代4位9秒72の記録を持つアサファも多数助言を与えてくれ、財産として残っている一つが“外国人恐怖症”を払拭(ふっしょく)してくれたことだ。

 「もともと外国人選手は怖いイメージだった。ごつごつしているので。米国に行くまではビビりまくりだった」

 少人数で毎日一緒の空気を吸っていれば、恐怖心は薄れる。「プレッシャーを感じないのが僕の武器」と公言するようになったのは、「パウエルさんとの練習が大きい」と感謝をしている。

 恩師の世界選手権出場はまだ決まってないものの、10秒22がベストだった当時と違う姿を見せ、「準決勝進出」を果たすことが最大の目標だ。8月5日が100メートルの予選。ロンドンから活躍という名の礼状を届ける。

 ≪バトンパス不安なし 目標は金!≫400メートルリレー1走候補の多田は、バトンパス不安なしを強調した。自己記録9秒台がいない日本の生命線は、計算し尽くされたアンダーハンドパスにある。新星ゆえに代表練習に参加したことはないものの、「大学でもアンダーハンドパスをしている。その点は心配していない」と頼もしかった。前向きな姿勢で「リオ五輪以上の金を狙いたい」と大きな夢を掲げた。

続きを表示

2017年7月4日のニュース