サニブラウン時代だ!末続以来14年ぶり2冠 世界陸上W決勝狙う

[ 2017年6月26日 05:30 ]

陸上日本選手権最終日 男子200m ( 2017年6月25日    大阪・ヤンマースタジアム長居 )

200mも優勝し、2冠を達成したサニブラウン
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 8月の世界選手権(ロンドン)代表選考会を兼ねて行われ、男子200メートルは18歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)が自己記録を0秒02更新する20秒32で初優勝して代表に決まった。100メートルとの2冠は2003年の末続慎吾以来16人目。15年北京大会に続く2度目の出場となる世界選手権では個人2種目で決勝進出を狙う。トラック・フィールド種目の代表は26日の日本陸連理事会を経て同日に発表される。

 勢力図を完全に塗り替えた。前日の100メートルに続き、200メートルもサニブラウンが20秒32で制し優秀選手に選出された。100メートルでは桐生、ケンブリッジ、山県を振り切り、200メートルでは飯塚を寄せつけなかった。4人はいずれも昨年のリオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーの銀メダルメンバー。今後の日本短距離界は、18歳の恐るべき才能を中心に動くことになる。

 2冠を達成できた要因は3つの心だ。まずは「今の体を見て最善の選択ができる」という客観的に自分を見つめる心。前日までの2日間で4本のレースをこなし迎えた200メートル決勝。「正直、満身創痍(そうい)」と自己分析し、アップの際は入念にストレッチで体をほぐしスピード練習は2本だけに抑えた。疲労で得意の終盤が伸びないと割り切り、最初の100メートルに勝負を懸けた。見事に作戦ははまり、コーナーを回りきった時点で両隣の飯塚と藤光をリード。最後の直線はがむしゃらに駆け「いっぱいいっぱいでした」とフィニッシュ後は大きな口を開けて天を向いた。

 2つ目は「速く走るのはとても気持ちいい。ハイレベルになればなるほど楽しい」と言い切る純真無垢(むく)な心。レース後の感情は「これでいっぱい寝られるし、おいしいご飯を食べられる」。人生を変えた3日間が終わり「脂っこいものを取らない方がいいと思って朝はジャムマーガリンのトーストだけ。ラーメンとか食べに行きたい」とはにかむ姿は18歳そのものだ。

 そして最後は「こんなところでへばっているようじゃ世界大会の日程はこなせない」という常に世界を見据える心。ここが通過点だからこそ、日本人初の9秒台と19秒台の質問には毎回、「そのうち出る」と言う。今後は拠点のオランダに戻り欧州のレースを転戦して8月の本番へ挑む。

 世界選手権では100メートルと200メートルの「両方であわよくば決勝に行ければ」と目標を語り、「バトンの練習をしなきゃいけない」とリレーの出場にも意欲を示した。16歳にして出場した2年前の前回大会では200メートルで準決勝まで進んだ。ジャスティン・ガトリン(米国)らと走り「前半から行かないとそこで差をつけられて置いていかれる」と実感したが、今では100メートルでも世界と戦えるという自負がある。走るたびにスケールが大きくなる18歳。世界を驚かせる日は近い。

 ▽世界陸上選手権の選考基準 国際陸連が設けた参加標準記録の到達者が日本選手権で優勝すれば自動的に代表となり、3位以内で有力となる。よって男子200メートルでは優勝したサニブラウンは自動的に代表入り。残る2枠は標準記録突破者から日本選手権で3位以内の選手を優先して選ぶ規定となっており、3位の飯塚も26日の理事会で選出される見込み。各種目最大3の出場枠が埋まらない場合、日本選手権3位以内の選手が、7月のアジア選手権や南部記念などの指定大会で標準記録に到達すれば代表に追加される可能性がある。アジア選手権優勝者も資格を得る。

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