新星現る!多田9秒94 追い風参考も国内日本勢初9秒台

[ 2017年6月11日 05:30 ]

陸上・日本学生個人選手権第2日 ( 2017年6月10日 )

男子100メートル準決勝、追い風4.5メートルの参考記録ながら9.94秒で決勝進出を果たした多田(中央)
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 陸上・日本学生個人選手権の男子100メートル準決勝で20歳の新鋭、多田修平(関学大)が追い風4・5メートルの参考記録ながら9秒94をマークした。追い風は2・0メートルを超えると記録は公認されないが、男子100メートルで100分の1秒までを表示する電気計時の9秒台は国内のレースでは日本勢初。追い風1・9メートルの決勝は日本歴代7位に並ぶ10秒08で優勝し、8月の世界選手権(ロンドン)の参加標準記録を突破した。

 誰よりも力強く、そして誰よりもリズム良く。ダイナミックな走法の多田は準決勝でスタートから飛び出すと4・5メートルの「風に押されていい感じで加速できた」。100メートルを駆け抜けると掲示板の「9秒94」を思わず二度見した。「びっくりした。間違えなのかなと思った」。追い風参考ながら国内で日本人初の9秒台を体感。全国区では“無名だった大学3年生”は驚きながらもガッツポーズを自然とつくっていた。

 快進撃は続く。約3時間半後の決勝では追い風1・9メートルの公認で10秒08の日本歴代7位タイ。10秒22の自己ベストを大幅に更新して優勝した。風向きを考慮しバックストレートに設定された高速コースを味方につけ、今夏の世界選手権の参加標準(10秒12)を突破し「目指していたのでうれしかった」と爽やかな表情ではにかんだ。

 高校時から全国レベルではあったが、大学進学後はケガに悩んだ。1年夏に左膝裏のじん帯を損傷。約3カ月も練習から離れた。それでも向上心は捨てず、今冬には大阪陸協が主催する「OSAKA夢プログラム」に参加し、米国遠征へ。元世界記録保持者のアサファ・パウエル(ジャマイカ)からスタートや腕振りの指導を受け「その成果が出た」と急成長につなげた。先月のゴールデングランプリ川崎ではジャスティン・ガトリン(米国)を相手にレース中盤まで先行。結果的には3位に終わったが、リオ五輪銀メダリストに「誰だか知らないが、素晴らしいスタートを切った選手がいた」と言わしめるインパクトを残していた。

 桐生、山県、ケンブリッジによる日本人初の公認9秒台を巡る争いに新星が加わった。23日に開幕する日本選手権(大阪)では“4強”が世界選手権代表の3枠を争う。「20年東京五輪までに絶対に9秒台を出す」と目標を立てる20歳。初の日本一を懸けた戦いへ「結構いい感じにきているので自信はあります」と頼もしく言い放った。

◆多田 修平(ただ・しゅうへい)

☆生まれ 1996年(平8)6月24日、大阪府東大阪市出身の20歳。

☆学歴 東大阪市・石切中―大阪桐蔭高―関学大。

☆スポーツ歴 小学時はサッカーと水泳をしていたが、中学から「運動会で走るのが好きだったから」と陸上部に所属。

☆先輩 大阪桐蔭高時は野球部の1学年上に森友哉(西武)、2学年上に藤浪晋太郎(阪神)がいた。

☆サイズ 1メートル76、66キロ。

☆家族構成 父、母、弟。

☆好きな食べ物 スイーツ。特に「パフェは好きですね」。

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