【松岡修造の目】とことん出た錦織の“弱さ”…解説席で念じ続けた「ラケットは友達」

[ 2017年6月6日 07:40 ]

テニス全仏オープン第9日 ( 2017年6月5日    パリ・ローランギャロス )

男子シングルス4回戦でベルダスコからポイントを奪えず悔しそうな錦織圭
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 風もあったし、バウンドの難しさももちろんあった。でもあれだけプレーにリズムがない圭も珍しかった。一言で言うと下手な圭。この前の3回戦の勝ち上がりと練習でのリズムの良さを見ていたら、あのプレーはあり得ない。

 今季の一番の悪さは集中力とメンタルの迷い。迷い=弱さだ。どこか体のこととかを考えて戦うことから逃げてしまう。それがとことん出た試合だった。

 第1セットは捨てて、第2セットでうまくブレークした。ところがブレークバックされて弱い態度がまた出た。ここでラケットを投げたら終わりだ。そう思ってテレビ解説をしながら「ラケットは友達だ」と念じ続けていた。

 そこから1本ずつやっていく中でベルダスコが突然消極的になった。全仏で初めてベスト8にいけるかも、と色気が出たのだろう。攻撃してこなくなったおかげで圭のリズムも良くなった。

 試合が進んで第4セットが一番生き生きとプレーしていた。そんなトップ選手もなかなかいないだろう。

 圭にとって一番の救いはテニスは凄く良い状態であること。兆しが見えたからすぐに良くなるわけじゃないが、心のタフさも戻りつつある。

 A・マリーにはこの日の第1セットのような弱さを見せたら、とことんやられてしまう。4大大会ベスト8は褒めてあげるべきだが、目指しているのは優勝。次は一切言い訳のきかない戦いになる。 (スポーツキャスター)

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