まるでNBA 馬場雄大の規格外ダンク 日本バスケに新時代

[ 2017年6月6日 14:30 ]

マカオ戦後に子どもたちにサインする馬場雄大
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 あれほど豪快な日本人選手のダンクシュートを見たのは初めてだった。バスケットボール男子の東アジア選手権(長野市ホワイトリング)で、日本は4日にマカオと対戦した。その試合の第2Q開始直後。馬場雄大(筑波大4年)は中央から走り込んでパスを受けると、ゴールへ向けてアタックした。ゴール近辺にはディフェンスがおり、その相手に体を預けてブロックされないようにしてシュートに持っていくのかと思いきや、21歳の若武者はそのままゴールへ向かって力強くジャンプ。ファウルをもらいながら、右手でリングにボールを叩き込んだ。

 NBAか漫画のワンシーンのようなダンクに、会場は沸いた。馬場は大会前に「“日本のバスケットは変わった”と思ってもらえるような、規格外のプレーをしたい」と話していたが、そんな言葉通りのダンクだった。

 ひと昔前まで日本人選手のダンクシュートは試合前のウォーミングアップで見かける程度で、試合では滅多になかった。近年はサイズと走力を兼ね備えた選手が多くなり、国内リーグや代表戦でも見る機会は増えてはいた。ただ、そのほとんどは速攻で独走し、フリーの状態で決めるもの。外国人選手のようにディフェンスがいるところに跳び込んで競り合いながら決められる選手はほぼいなかった。

 マカオ戦後、馬場は「ディフェンスがいる、いないは気にしていません。上の空間が空いていれば、(ダンクに)持っていける。最後の一歩が踏めれば、力強く行ける」と平然と言ってのけた。走り込むスペースと跳びあがるスペースがあれば、多少相手と接触したり、難しい体勢になっても、ダンクに持っていける感覚が彼にはあるのだ。

 身長は1メートル95。ジャンプの最高到達点は3メートル5のリングをはるかに上回る3メートル50超。そして、身長1メートル82だった中3で初めてダンクができるようになって以来「僕の持ち味の一つ。行ける時には行く」と富山一高時代も、現在所属する筑波大でも、チャンスがあれば狙って、成功させてきた。高い身体能力に加えて、その数多の経験が国際試合でも物怖じせずに狙えるダンクにつながっている。

 マカオ戦で馬場は計3本のダンクを決めた。馬場に触発されるように、1メートル90の比江島慎(三河)、1メートル97の張本天傑(名古屋)もダンクを叩き込んだ。やはりダンクが決まれば会場は盛り上がり、チームの士気も上がる。東アジア選手権は6日に準決勝の台湾戦、7日に決勝が行われる。日本男子バスケの新時代を告げる馬場のダンクに今後も注目していきたい。(柳田 博)

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2017年6月6日のニュース