美宇、女子単48年ぶりメダル!五輪銅メダリストをストレート

[ 2017年6月3日 05:30 ]

卓球世界選手権個人戦第5日 ( 2017年6月2日    ドイツ・デュッセルドルフ )

女子シングルス準々決勝でストレート勝ちした平野美宇
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 48年ぶりのメダルはめっちゃ、うれしい――。アジア女王の平野美宇(17=エリートアカデミー)が、女子シングルス準々決勝で12年ロンドン五輪女子シングルス銅メダリストのフェン・ティアンウェイ(シンガポール)に4―0で勝ち、メダルを確定させた。今大会は3位決定戦がないため。日本勢がこの種目でメダルを獲るのは1969年以来48年(24大会)ぶりの快挙。東京五輪の星が日本卓球界に風穴を開けた。

 鬼気迫る顔の試合中と普段の顔との違いに、多くの人がびっくりしただろう。女子シングルス48年ぶりのメダルという快挙を果たすと、インタビューでは満面の笑みで「メッチャうれしいです。ビックリしてます。絶対にメダルを意識せず、自分のプレーをしようと。試合中はメダルのことを考えちゃ駄目と思っていました」と声を弾ませた。

 この後は“らしさ”全開。公言してはばからないアイドル好きに引っかけて「フォーティーエイトなのでうれしいです」。48年前は母・真理子さんが生まれた年と聞けば「お母さんの年がばれましたね。凄いですね。メッチャ前じゃないですか」とはしゃいだ。

 勝負どころは、2ゲームを連取して迎えた第3ゲーム。取っては取られる展開だった。17―16からは今大会の得点源になっている伸びる球でサーブ得点を挙げてここを奪った。「サーブの練習量は普通ですけど、なぜか効くようになって。自信を持って戦えています」。ロンドン五輪で石川佳純のメダルを阻んだフェン・ティアンウェイにストレート勝ちし、表彰台を確定させた。

 15年9月にリオ五輪の代表に落選し、大きく戦型を変えた。早い打点で次々と強打を浴びせ、今では“ハリケーン”の異名を取っている。4月に中国3選手を破ってアジア選手権に優勝するまでになったのは、たくさんの汗を流したから。日本協会の羽生綾子トレーナーは「夕食を食べた後でも気になることがあれば戻ってボールを打っていた」と練習の虫ぶりを証言する。

 とことんやる気質は幼少期からだ。現地で観戦中の母・真理子さんは小学1年の出来事が忘れられずにいる。「縄跳びを頑張りたいと言ったことです」。クラスにいた二重跳びが上手な子に勝つべく、卓球の合間に縄跳びをして上達に励んだ。1年後に100回跳ぶほどに。「やると決めたらやる。うまくなりたいと決めたらやる。そういうところが凄くあります」

 小学1年で「五輪で金メダル」という目標を掲げた。20年にその夢を実現するために4強で満足するわけにはいかない。「(スマホで見た)中国のメディアに“直通ベスト4”って書いてあったんです。中国人と当たらないから直通って。そんな簡単じゃないのに」。3日の準決勝の相手は石川佳純が屈したリオ五輪金メダルの丁寧(テイ・ネイ=中国)。新時代のヒロインなら、最強女王も突破してくれるはずだ。

 ▽1969年の日本のメダル ミュンヘンで行われ、小和田敏子が金メダルを獲得。浜田美穂が銅メダルだった。中国は不参加。男子シングルスは金銀銅を独占した。

 ☆生まれとサイズ 2000年(平12)4月14日、山梨県生まれの17歳。右利き。1メートル58、体重は「秘密!」。

 ☆卓球歴 母・真理子さんが指導していた卓球クラブで3歳の時に競技をスタート。4歳2カ月で全日本選手権バンビの部(小学2年以下)に出場した。伊藤美誠とは5歳で初めてダブルスのペアを組んだ。

 ☆主な国内タイトル 小学3年時に全日本選手権カブの部(小学4年以下)のシングルスで優勝。今年の全日本は史上最年少で戴冠した。

 ☆主な国際タイトル 中学1年の14年3月に伊藤と組んだドイツ・オープンのダブルスでワールドツアー最年少優勝。同12月には同じペアでグランドファイナルも最年少で制覇。シングルスでも昨年10月にW杯、今年4月にはアジア選手権でいずれも史上最年少優勝を果たした。

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