白鵬38V!衰え指摘する声も何の「32歳でもできるんだ」

[ 2017年5月28日 05:30 ]

大相撲夏場所14日目 ( 2017年5月27日    両国国技館 )

照ノ富士を寄り切りで破り優勝を決めた白鵬(右)
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 白鵬、復活――。勝てば優勝が決まる照ノ富士戦を寄り切りで制し、昨年夏場所以来となる1年ぶりの優勝を飾った。昨年9月に右足親指を手術し、初めて優勝から5場所遠のき、その間には和製横綱・稀勢の里が誕生。衰えもささやかれる中、38度目の優勝を14連勝で決めて存在感を示した。28日の千秋楽で自身13度目の全勝優勝を決めて完全復活を果たす。

 優勝に沸く館内で白鵬が仁王立ちした。照ノ富士を退けて、6場所ぶりに賜杯奪還。懸賞金(99万円)の束を力強くつかんだ。結びの一番を待つ土俵下、「自分と見つめ合うというか、土俵に感謝していました」。さまざまな思いが脳裏を去来。そして、「長かった。やっぱりうれしい。優勝は全部が特別。今日はひと味違った感じです」と歓喜に浸った。

 逆転優勝の可能性を残す照ノ富士との一番。優勝を目前にして「緊張感、多少はあった」という。アドレナリン全開で体が紅潮。立ち合い直前に必ず頭を傾けて相手をじらす大関が、ルーティンを忘れるほど気迫で圧倒した。立って右を差した瞬間、右四つに。それこそ強い横綱の姿だった。

 13日目の朝稽古。立ち合いの確認を始めた次の瞬間、トレーナーを呼んだ。左足親指を痛めて座り込み、若い衆がタオル2枚でカーテンをつくる。昨秋の手術、先場所は右大腿筋損傷。度重なるケガに緊張が走った。そんな中、朝稽古を見学に来た関係者に「無理やりでもやるしかない」と覚悟を示した。その日の玉鷲戦は立ち合いで変化。怪力相手にプライドを捨て勝負に徹し、38度目の優勝を呼び寄せた。

 横綱・稀勢の里が誕生し、「後輩横綱が誕生することで眠っていたものがよみがえってきた」と奮い立った。特大チェーンを巻いた160キロのベンチプレスを上げ、モンゴル軍隊式の筋トレで下半身を強化。「(一番苦しかったのは)手術した後」。“辛抱”と言い聞かせ、復活を信じて過酷なトレーニングにも耐えてきた。

 強すぎた横綱が1年も優勝から遠ざかり「衰え」と雑音も聞こえてきた中、「32歳になってもできるんだと、頑張って努力すればできるのを見せつけた」と胸を張った。元大関・魁皇の持つ最多勝利数まで残り12勝。全勝での完全復活とともに、また持ち越しとなった稀勢の里との最強決戦を制して「最強横綱」の称号を取り戻す。

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2017年5月28日のニュース