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テニス新形式の是非、ボレロは短くても楽しめるか

今年の全豪オープン男子シングルス4回戦でフルセットの死闘を繰り広げたフェデラー(左)と錦織
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 曲が始まってすぐにクライマックスはやってきた。

 ゴールデンウィークに東京・丸の内で行われたクラシック音楽のフェスで、フランス国立ロワール管弦楽団の演奏する「ボレロ」を聴いた。本編で演奏された後、アンコールでもう1度「ボレロ」が始まった。

 小太鼓の「タ・タ・タ・タン」というリズムで始まり、フルートが最初のメロディーを奏でる。同じ旋律を繰り返しながらミルフィーユのように薄く、少しずつ、だが確実に厚みを増していく音色。ふと気づくと始めにいた場所からはるか遠くまで運ばれている。そんな曲である。

 ただし、アンコールで演奏されたのは短縮バージョンだった。曲の終盤から始まり、長く待つことなく最高潮に達した。それはそれでもちろん「ブラボー!」だったのだが、果たして本編でフルバージョンを聴いていなかったら満足できていただろうか。

 テニスの試合もボレロと同じではないかと思う。

 定められたコートの中で黄色いボールが繰り返し繰り返しネットの上を行き交う。技巧を凝らしたショットをやり取りするうちに、選手の感情は大きく波を打ち始め、観客の熱気が加わってクライマックスを迎える。

 男子テニスのATPツアーは、11月にイタリア・ミラノで初開催する21歳以下の王者決定戦「ネクスト・ジェネレーションATPファイナル」の概要を発表した。

 従来の6ゲームではなく、4ゲーム先取の5セットマッチを採用。その他にもアドバンテージの廃止、ウォーミングアップの時間短縮やポイント間のショットクロック導入など、試合のテンポを速める改革案が数多く取り入れられた。

 試合中に観客が自由に場内(ベースライン後方を除く)を移動することもでき、従来のテニスに一石を投じる試みである。

 これらのルールについて、ツアーは「テレビ向きに」という意図を隠さなかった。バレーボールはラリーポイント制を取り入れ、卓球は21点から11点先取に。野球でも3月のWBCではタイブレークが導入されていた。遅ればせながら、テニスもこうした時代の波にのみこまれる日が来たのだろうか。

 ATPはこの大会での取り組みを精査した上で、普段のツアーにも取り入れていく可能性を示している。スポーツの世界だけとどまらず、可処分時間の奪い合いは激しさを増すばかり。いつ終わるともしれない3時間、4時間の試合、つまり従来のテニスのフォーマットはもう好ましいものではないのかもしれない。

 だがそれだけの時間とラリーを積み上げることでしか得られないカタルシスもある。それももはやノスタルジーだろうか。実際に見てみたら短くても十分に楽しめるね、これも有りだね、なんてことを思うのだろうか。(テニス担当・雨宮 圭吾)

[ 2017年5月24日 10:30 ]

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