桃子 涙の復活V「今年勝てなかったらゴルフを辞めようと」

[ 2017年5月22日 05:30 ]

女子ゴルフツアー 中京テレビ・ブリヂストン・レディース最終日 ( 2017年5月21日    愛知県豊田市 中京ゴルフ倶楽部石野コース=6401ヤード、パー72 )

優勝インタビューで涙ぐむ上田桃子
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 2位から出た上田桃子(30=かんぽ生命)が8バーディー、1ボギーの65で回り通算16アンダーで逆転優勝し、14年の樋口久子森永レディース以来の日米通算12勝目を挙げた。引退をも覚悟して臨んだシーズン。地元・熊本で開催された4月のKKT杯バンテリン・レディースでは痛恨の逆転負けを喫したが、悔しさを糧に3年ぶりの優勝をつかんだ。

 パーなら勝てる18番パー4。残り107ヤードの第2打直前、悪夢が脳裏をよぎった。地元熊本で開催された4月のKKT杯バンテリン・レディース最終日。西山ゆかりとのプレーオフで上田は第2打を池に入れて敗れた。

 それでも攻めた。ピンの少し右を狙った一打は左に飛んだが、池に転がり落ちる傾斜の手前で止まった。命拾いした上田は8メートルをパターで沈めてバーディー締め。3年ぶりの優勝に花を添えた。

 「優勝は近くて遠いと思っていた。熊本で勝てなかったダメージは大きいもので自信を持つことは大変だった」と話すと自然に涙がこみ上げた。

 ショットが好調で1、2、3番はいずれも2メートルに付けて3連続バーディー。運にも恵まれ16番で第1打を左に曲げたが、岩に当たってセミラフに戻ってきた。17番は6メートルのパーパットを決めた。前日までパットに苦しんだが、勝負どころで長い距離をねじ込んだ。

 前夜は午前0時にベッドに入ったが、熊本の敗戦を思い出し「また勝てない」と不安になり眠れなくなった。「侍ジャパンの筒香選手が朝まで気が晴れるまで素振りをしたという記事を見ていて」起きてパターを手に素振りを続けた。辻村明志コーチ(41)に連絡するとメールが届いた。

 上田は昨年5月、元プロ野球ヤクルト監督でゴルフも指導した荒川博氏(享年86)に弟子入りした。しかし師匠は同年12月4日に急死。辻村コーチのメールには、同年11月下旬に行った最後のレッスン後に荒川氏が書いた日記の画像が添付されていた。「私の練習は普通30分も耐えられないのに(上田は)3時間もやった。よく練習できている。そのハートが大事」。亡き師の日記を読み力が湧いてきた。

 「今年勝てなかったらゴルフを辞めようと思っていた」。1月、都内で合宿中にサポートするチームの前で宣言した。「それだけの覚悟を持っても勝てない時は辞める時だなと。まだ頑張れるし頑張れっていうことかな」と笑った。

 30歳になって初めての勝利の味は格別だ。「次の目標は(今季)2勝目」。壁を乗り越えた上田がまた歩きだす。

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2017年5月22日のニュース