稀勢様々 懸賞バブル史上最多2219本、自身は断トツ608本でけん引

[ 2017年5月13日 05:30 ]

野見宿禰神社で奉納土俵入りをする東横綱稀勢の里(代表撮影)
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 大相撲夏場所(14日初日、両国国技館)で横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)に懸けられた懸賞が12日までに608本になり、力士別でダントツになったことが判明した。2位は高安(27=同)の119本。夏場所全体では総数が2219本と、2015年秋場所での1979本を大幅に更新し、過去最多となる見込み。2日目までの取組も決まり、稀勢の里は初日に小結・嘉風、2日目に平幕・隠岐の海と対戦する。

 懸賞人気は1強だ。夏場所の申し込みが全体で2219本あった懸賞のうち、稀勢の里が608本と全体の4分の1以上を占めた。1場所全体での過去最多は15年秋場所の1979本だが、これを更新する勢いの懸賞バブルの中心が第72代横綱だ。

 2場所連続優勝したことでファンのみならず企業の注目度も大幅にアップ。稀勢の里の懸賞は春場所の300本からは倍増、初場所の107本からは約6倍に膨れ上がった。日本相撲協会の担当者が「(稀勢の里が)休場したらどうしよう」と苦笑いするほどの一極集中だ。

 圧倒的人気は、申し込みのルールさえも動かした。同協会は、これまでの1取組総数60本(東京開催場所のみ61本)の上限は据え置く代わりに、1社1取組で「5本まで」としていた上限を下げる方向。稀勢の里を応援したいという企業をできるだけ多くシェアしてもらうためだ。来年初場所での新ルール運用を目指し、協会は検討に入っている。

 実は、今場所でも異例の事態が起きていた。嘉風と対戦する初日の結びの一番には約70本の申し込みがあった。やむなく同協会は、1社で複数本申し込んだ企業に懸賞本数を減らすように頼み、約50本まで調整した。

 過去、上限の61本の懸賞を懸けて行われた4度の取組は、初場所千秋楽の「白鵬―稀勢の里」など終盤戦だった。初日の状況から見て、「今場所は中盤戦でも上限が、あり得るのではないか」(同担当者)と期待を寄せる。

 稀勢の里はこの日、東京都墨田区の野見宿禰(のみのすくね)神社で横綱土俵入りを奉納。取組前に、多くの懸賞旗が土俵を回ることになる初日の嘉風戦に向けては「平常心でいいと思う」と話した。先場所痛めた左上腕付近の回復具合が不安材料だが、「腕が2本あるから。少しでも力が入れば相撲になると思うから」と力を込める。あとは期待に土俵で応えるだけだ。

 ▽懸賞メモ 2005年秋場所の千秋楽「朝青龍―栃東」戦で49本の懸賞が懸かり、これ以上増えると懸賞旗が土俵を回る時間が長くなりすぎるとされ、翌年から「1取組50本まで」(東京開催場所はファンが選ぶ森永賞があるため51本)に制限された。15年初場所から60本(同61本)に緩和。現在、懸賞は中入り後の取組のみ可能。1本6万2000円で力士の手取りは3万円。懸賞旗は1メートル20×70センチと決まっている。

 《神様の前で土俵入り》「相撲の神様」である野見宿禰を祭った同神社で雲龍型の土俵入りを披露した稀勢の里は「身が引き締まる思い。気持ちを込めて堂々とできた」と感想を語った。稽古場では痛めている左上腕付近をテーピングで固定しているが、この日は何も着けず、かしわ手も力強かった。負傷を抱えながら稽古を続けてきたが「稽古を始めてすぐから、(夏場所出場は)いけると思った」と説明。「不安はあるが、それを払しょくするために稽古をするしかない。しっかり稽古ができて、あとは本場所」と横綱の責任を果たす覚悟だ。

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