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元NFLアーロン・ヘルナンデスを狂わせたのはいったい何だったのか?

自殺した元ペイトリオッツのアーロン・ヘルナンデス(AP)
Photo By AP

 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】日本式に表現すると「6畳」ほどの広さだろうか?マサチューセッツ州シャーリーにある刑務所。そこの独房がアーロン・ヘルナンデスの“自宅”だった。食事は大皿1枚だけ。敷き詰められたライスの上に食パン1枚とマーガリンが乗せられ、端に野菜の付け合わせが少々。そんな質素なメニューが日々続いていた。

 NFLペイトリオッツのタイトエンド(TE)として活躍。1メートル88と大柄なTEではなかったが、QBトム・ブレイディー(39)とのホットラインで注目され、2010年からの3シーズンで計18TDをマークした。オフェンスのラインマンでもありながら、レシーブしたあとはランニングバック(RB)のようなカットバックで相手守備陣を振り切るアスレチックなTE。平均年俸は約8億円以上に達し、4階建ての豪邸で暮らしていた。

 しかし2013年、同居していた婚約者の妹の恋人に5発の銃弾を撃ちこんで射殺。終身刑を言い渡され、ゴージャスな生活は終止符を打った。そして2017年4月19日の未明。彼は独房で首をつって自殺した。まだ27歳。ベッドのシーツを切ってロープを作り、ドア代わりになっている扉を外部から開けられないように中から細工が加えられていたと言う。

 16歳の時に慕っていた父が死亡。ヘルナンデスは高校で花形のフットボール選手として活躍しながらも素行は悪くなっていた。17歳の時、バーで無銭飲酒。警察に突き出すぞと激怒した店員を殴って問題をさらに複雑にした。フロリダ大時代には全米王者となったが、そんな栄光の裏で邪悪な闇の部分が心をむしばんでいく。車に発砲して負傷者を出すこと2回。銃社会でなければ彼の人生は違う方向に行ったのかもしれないが、ついに人を射殺するという最悪の結末を迎えてしまった。

 自殺から5日後。当初は存在しないと伝えられていた手書きの遺書が、独房内に置かれた聖書の横に3通あったことが明らかになった。婚約者とその間にもうけた4歳になる娘に各1通。そしてニューヨーク・ポストなどの各メディアによれば、同じ刑務所で服役していた男性の受刑者にも驚くべき事実を記した遺書があった。

 なぜ射殺に至ったかと言えば、自分が実はバイセクシュアルで、それをその男性になじられたから。高校時代の男子の同級生とずっと恋愛関係にあったこと。そしてその受刑者が刑務所内の恋人だったこと…。ヘルナンデスは自分の立ち位置に迷い、数週間前から自殺を考えていたことを記していた。

 刑務所でも心理カウンセリングを受けることができる。しかしヘルナンデス受刑者の心は、その屈強な肉体に隠れて誰の目にもとまらなかった。

 米プロスポーツ界を震撼させた現役選手による殺人事件。こんな終わり方で良かったのか?多くの人に問いたい。もちろんヘルナンデス本人にも…。 (専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、佐賀県嬉野町生まれ。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

[ 2017年4月25日 11:30 ]

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